公開日 2025.5.22
作用・特徴
四逆散（シギャクサン）は胃炎、胃酸過多やイライラ等に使用されます（図1）。
図1 四逆散の効果
四逆散は動物モデルの研究で、うつ症状や不安の改善の効果が得られると報告されています1）、2）。
また、同じく動物モデルの研究でうつ病マウスの脂肪吸収を改善することや、肝臓の糖・脂質代謝のバランスを調整することが報告されています3）、4）。
四逆散は、グルタミン酸NMDA受容体を調整し、セロトニンとGABAのニューロン活性を調整し、抗うつ作用を発揮するメカニズムが報告されています5）、（図2）。
図2 四逆散の抗うつ効果の作用機序
使用目標（証）は、体力中等度もしくはそれ以上の人で、胸脇苦満、腹直筋の攣急があり、イライラ、不眠、抑うつ感などの精神神経症状を訴える場合に用いる。
1）腹痛、腹部膨満感、動悸などを伴う場合
とされています。
図3 四逆散の抗うつ効果の作用機序
四逆散は以下の生薬から構成されています（図4）。
- 柴胡（サイコ）
- 芍薬（シャクヤク）
- 枳実（キジツ）
- 甘草（カンゾウ）
図4 四逆散の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬（35番）は１包顆粒2.5gとなっています（図5）。
図5 四逆散の剤型（ツムラ医療用）
効能・効果
効能・効果は以下となっています。
比較的体力のあるもので、大柴胡湯証と小柴胡湯証との中間証を表わすものの次の諸症：
- 胆嚢炎
- 胆石症
- 胃炎
- 胃酸過多
- 胃潰瘍
- 鼻カタル
- 気管支炎
- 神経質
- ヒステリー
用法・用量[ツムラ四逆散(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2～3回に分割し、食前又は食間に内服する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減するとなっています。
副作用
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
重大な副作用
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
参考
- 1） Deng D, et al.: Sinisan alleviates depression-like behaviors by regulating mitochondrial function and synaptic plasticity in maternal separation rats. Phytomedicine, 106:154395, 2022.
- 2） Tanaka M, et al.: Anxiolytic-like effect of Shigyakusan extract with low side effects in mice. J Nat Med, 67: 862-6, 2013.
- 3） Liu Y, et al.: Si-Ni-San reverses dietary fat absorption defects in a murine model of depression. Biomed Pharmacother, 168:115677, 2023.
- 4） Yang X, et al.: Si-Ni-San promotes liver regeneration by maintaining hepatic oxidative equilibrium and glucose/lipid metabolism homeostasis. J Ethnopharmacol, 326:117918, 2024.
- 5） Cao K, et al.: SiNiSan exerts antidepressant effects by modulating serotonergic/GABAergic neuron activity in the dorsal raphe nucleus region through NMDA receptor in the adolescent depression mouse model. J Ethnopharmacol, 328:118040, 2024.
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