公開日 2024.1.15
作用・特徴
大柴胡湯は比較的体力がある人の生活習慣病、肥満症、肝・胆疾患等に使用されます(図1)。
図1 大柴胡湯の効果と効果
精神的な不安や緊張を和らげ、ストレスにより過食を抑える効果があるとされています。
高脂血症に対する治療効果が報告されています1)。
高脂肪食を摂取したマウスに大柴胡湯を投与すると、体重減少がみられることが報告されています2)。
使用目標(証)は、体格・体力ともに充実した人で、胸脇苦満が強く、便秘する場合に用います。
- 1)悪心、嘔吐、季肋部の苦満感などを伴う場合
- 2)肩こり、頭痛、頭重、めまい、耳鳴りなどを伴う場合
とされています。
図2 大柴胡湯の東洋医学的使用目標
大柴胡湯は褐色脂肪細胞を活性させること、膵臓リパーゼを阻害すること、アラキドン酸代謝を低下させることが報告されており3)~5)、これらの作用により肥満、非アルコール性脂肪性肝障害を改善すると考えられています(図3)。
図3 大柴胡湯の肥満・NAFLD(非アルコール性脂肪性肝障害)の改善メカニズム
大柴胡湯は以下の生薬から構成されています(図4)。
- 柴胡
- 半夏
- 黄芩
- 芍薬
- 大棗
- 枳実
- 生姜
- 大黄
図4 大柴胡湯の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(8番)は1包顆粒2.5gとなっています(図5)。
図5 大柴胡湯の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
比較的体力のある人で、便秘がちで、上腹部が張って苦しく、耳鳴り、肩こりなど伴うものの次の諸症がみられます。
- 胆石症
- 胆のう炎
- 黄疸
- 肝機能障
- 高血圧症
- 脳溢血
- じんましん
- 胃酸過多症
- 急性胃腸カタル
- 悪心
- 嘔吐
- 食欲不振
- 痔疾
- 糖尿病
- ノイローゼ
- 不眠症
用法・用量[ツムラ大柴胡湯(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。
副作用
重大な副作用として以下が挙げられています。
- 間質性肺炎(頻度不明)
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
- 食欲不振
- 腹痛
- 下痢
参考
- 1) 佐々木 淳, 他, : 高脂血症に対する大柴胡湯の効果 -クリノフィブラー トとの比較- . 臨床と研究, 68 : 3861-71, 1991.
- 2) 坂本 忍, 他. : 高脂肪飼料摂取モデルマウスの血中脂質および肝細胞中脂肪小滴に与える防風通聖散・大柴胡湯の影響. 薬理と治療, 48 : 175-181, 2020.
- 3) Morita S, et al. : Daisaikoto improves fatty liver and obesity in melanocortin-4 receptor gene-deficient mice via the activation of brown adipose tissue. Sci Rep, 12 : 10105, 2022.
- 4) Matsuo Y, et al. : Daisaikoto Inhibits Pancreatic Lipase Activity and Decreases Serum Triglyceride Levels in Mice. Biol Pharm Bull, 41 : 1485-1488, 2018.
- 5) Ishizawa S, et al. : Integrated analysis of effect of daisaikoto, a traditional Japanese medicine, on the metabolome and gut microbiome in a mouse model of nonalcoholic fatty liver disease. Gene, 846 : 146856, 2022.
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