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強迫性障害(強迫症)について

症状

強迫性障害の症状には「強迫観念」と「強迫行為」とその両方があります。

強迫観念は繰り返し心に浮かぶ考え、イメージ、衝動で苦痛を伴います。打ち消そうと思っても打ち消すことができません。

例えば心の中で同じ考えを反復したり、誰かに危害を加えるかもしれないと繰り返し考えたりします。

強迫行為は強迫観念を打ち消すために同じ行動を何度も行うことです。

例えば汚れが気になり手洗いを何度も繰り返したり、家の鍵を閉めたか気になり何度も確認してしまうなどの行為があります。

主な症状は以下のようなものがあります。

汚染恐怖(不潔恐怖)と洗浄 

ドアノブが汚れていると気になりさわれなかったり、物を触れた手が汚れたと思い手洗いがやめられない

確認行為

家のドアの鍵を閉めたか気になり何度も確認する。ガスや電気のスイッチを消したか気になり何度も確認する

対称性や正確性へのこだわり

物の配置や順序、大きさがそろっていることなどへのこだわりがあり常にそうなっていないと落ち着かない

加害恐怖

誰かに危害を加えるかもしれない、または危害を加えたかもしれないと気になってしまう

数字へのこだわり

4や9といった数字が縁起が悪いと過度に気になるなど数字にこだわる

これらに加え、自分が納得いくまで確認を繰り返し、次の行動に移れなくなることを「強迫性緩慢」と呼びます。

日本人の強迫性障害の症状割合を図1に示します。

(図1)

有病率・遺伝率

有病率は1~3%と報告されています1)。

遺伝率は48%と報告されています2)(遺伝の素因が引き継がれる確率が48%ということで、48%の確率で発症するといことではありません)。

病因・病態

気質要因として否定的感情、完全主義性などが指摘されています3)、4)。

環境要因として周産期合併症、身体的虐待体験、自己免疫疾患、ストレスの大きい出来事などが挙げられています3)、5)、6)、7)。

遺伝子研究ではセロトニン系、ドパミン系、グルタミン酸系システムが相互に関連していることが示唆されています8)、9)。

画像研究では脳の部位における「皮質-線条体-視床-皮質」という回路の異常が示されています(図2)。

(図2)

併存症

強迫性障害では①不安障害、うつ病の併存率が高いこと、②チック症の併存がみられること、③強迫関連性障害(身体醜形症、ためこみ症、抜毛症、皮膚むしり症)の併存がみられることが分かっています10)、11)(図3)。

(図3)

治療

治療は一般的にSSRIという薬と暴露反応妨害法という行動療法を組み合わせて行います。

最初は薬の内服で不安や苦痛を和らげて、その後暴露反応妨害法を進めて行きます。

暴露反応妨害法は、苦痛と感じ恐れていたり避けていることにあえて立ち向かい、不安が下がるまで続けます(暴露法)。

そしてこれまで不安を下げるためにしてきた強迫行為をあえて行わないようにします(反応妨害法)。

この疾患では家族に対する「巻き込み」が生じることがあります。

例えば手洗いに立ち会わせる。電気、ガスのスイッチが消えたか頻回に家族にも確認を求め、保証を要求するなどです。

家族の側が要求に応じ続けるとかえって症状が強化されてしまいますが、本人の要求を断ると本人のイライラが高まるなど難しい状況が家庭内で生じます。

そのため、患者さん自身に病気を理解してもらうとともに、御家族にも病気を理解してもらうことが必要となります。

その上で「巻き込み」が症状悪化の要因になることをお互いに理解してもらい、家庭内の環境調整を図りつつ、治療を進めて行きます。

文献

  • 1)Hirschtritt, ME. et al. : Obsessive-Compulsive Disorder: Advances in Diagnosis and Treatment. JAMA, 317 : 1358-1367, 2017.
  • 2) Monzani, B. et al. : The structure of genetic and environmental risk factors for dimensional representations of DSM-5 obsessive-compulsive spectrum disorders. JAMA Psychiatry, 71 : 182-9, 2014.
  • 3)Grisham, JR. et al. : Risk factors prospectively associated with adult obsessive-compulsive symptom dimensions and obsessive-compulsive disorder. Psychol Med, 41 : 2495-506, 2011.
  • 4) Brakoulias, V. et al. : The relationships between obsessive-compulsive symptom dimensions and cognitions in obsessive-compulsive disorder. Psychiatr Q, 85 : 133-42, 2014.
  • 5)Brander, G. et al. : Systematic review of environmental risk factors for Obsessive-Compulsive Disorder: A proposed roadmap from association to causation. JAMA Neurol, 75 : 1098-1105, 2018.
  • 6)Pérez-Vigil, A. et al. : The link between autoimmune diseases and obsessive-compulsive and tic disorders: A systematic review. Neurosci Biobehav Rev, 71 : 542-562, 2016.
  • 7)Wang, LY. et al. : Systemic autoimmune diseases are associated with an increased risk of obsessive-compulsive disorder: a nationwide population-based cohort study. Soc Psychiatry Psychiatr Epidemiol, 54 : 507-516, 2019.
  • 8)Ortiz, AE. et al. : Association between genetic variants of serotonergic and glutamatergic pathways and the concentration of neurometabolites of the anterior cingulate cortex in paediatric patients with obsessive-compulsive disorder. World J Biol Psychiatry, 17 : 394-404, 2016.
  • 9)Gassó, P. et al. : Association between genetic variants related to glutamatergic, dopaminergic and neurodevelopment pathways and white matter microstructure in child and adolescent patients with obsessive-compulsive disorder. J Affect Disord, 186 : 284-92, 2015.
  • 10)Nestadt, G. et al. : Obsessive-compulsive disorder: subclassification based on co-morbidity. Psychol Med, 39 : 1491-501, 2009.
  • 11)Say Öcal, D. et al. : A comparison of symptom dimensions for obsessive compulsive disorder and obsessive compulsive-related disorders. PLoS One, 14 : e0218955, 2019.
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