川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

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社交不安障害(社交不安症)について

公開日 2020.6.12

症状

社交不安障害は他人に見られる社交の場で不安、恐怖が生じます。

社交場面は雑談すること、食事をするところを見られること、他人の前で話しをすることなどが含まれます。

また、このような場面で自分が他人にどのように思われるのかを不安に感じたり、他人から否定的な評価を受けるのではないかと不安や恐れを抱き、社交場面を避けたり、その場にいることに苦痛を感じます。

従来、日本では他人と同席する場で不安、緊張が生じ、そのため他人に不快な思いをさせるのではないか、軽蔑されるのではないかと考え、対人関係から回避する対人恐怖症という疾患が定義され、診断に使用されていました。

現在、対人恐怖症とアメリカ精神医学界が定義する社交不安障害はおおむね一致する診断概念として日本でも社交不安障害が診断名として使用されています。

従来の対人恐怖症には以下のような症状による分類があり1)、同じ患者さんでも複数の症状を併せ持っていることがあります。

対人場面による症状分類

  • 大衆恐怖
    大衆の前に出る状況を恐れる状態
  • 長上恐怖
    目上の人と同席する状況を恐れる状態
  • 異性恐怖
    異性と同席する状況を恐れる状態
  • 交際恐怖
    他者と交際する状況を恐れる状態
  • 演説恐怖
    人前で発言する状況を恐れる状態
  • 朗読恐怖
    人前で朗読する状況を恐れる状態
  • 談話恐怖
    他者と会話する状況を恐れる状態
  • 電話恐怖
    他者と電話する状況を恐れる状態
  • 会食恐怖
    人前で食事する状況を恐れる状態
  • 視線恐怖
    他者からの視線が気になる状態(他者視線恐怖)と自分の視線が他人を不快にさせるかもしれないと過剰に不安に思う状態(自己視線恐怖)があります。
    他者視線恐怖のみの場合と他者視線恐怖と自己視線恐怖を併せ持っている場合があります。
  • 正視恐怖
    他者と視線を合わせる状況を恐れる状態
  • 思惑恐怖
    自分が皆をしらけさせる状況を恐れる状態

不安に伴う身体症状による症状分類

  • 赤面恐怖
    人前で顔が赤くなることを恐れる状態
  • 表情恐怖
    人前で顔がひきつり変な表情になるのを恐れる状態
  • 吃音恐怖
    人前でどもることを恐れる状態
  • 震え恐怖
    人前で手や声が震えることを恐れる状態
  • 発汗恐怖
    人前で発汗することを恐れる状態
  • 硬直恐怖
    人前で身体が硬直することを恐れる状態
  • 嘔吐恐怖
    人前で嘔吐することを恐れる状態
    (嘔吐恐怖はパニック障害としての症状の場合や他の疾患に伴う場合もあります)
  • 卒倒恐怖
    人前で意識を失って倒れることを恐れる状態
  • 頻尿恐怖
    人前で頻回に尿意が生じることを恐れる状態
  • 頻便恐怖
    人前で頻回に便意が生じることを恐れる状態
  • 尿閉恐怖
    公衆便所で排尿できないことを恐れる状態

有病率・遺伝率

国内での有病率は1.8%、米校では12.1%と報告されています2)、3)。

遺伝率は28%と報告されています4)(遺伝の素因が引き継がれる確立が28%ということで、28%の確立で発症するといことではありません)。

病因・病態

気質要因として行動抑制(慢性的に新しい人、場所、物を警戒したり、回避する傾向)が挙げられています5)。

環境要因としては幼少期のトラウマ体験が挙げられています6)。

生物学的病態として不安な状況での脳の扁桃体、島の活動性亢進が報告されています 7)、(図1)。

(図1)

また近年の画像研究ではセロトニンとドパミンの機能障害が報告されています8)、(図2)、(図3)。

(図2)

(図3)

併存症

社交不安障害はうつ病、アルコール使用障害、不安障害の併存が多いことが報告されています9)、(図4)。

(図4)

症状による機会損失

社交不安障害は受診率が低く、QOLの低下を伴う様々な人生上での影響が指摘されています10)、11)、(図5)。

(図5)

治療

治療は薬物療法と精神療法が行われます。

薬物療法ではSSRIという脳内でのセロトニンの作用の働きを強める薬を使用します。

必要に応じてベンゾジアゼピンという抗不安薬の併用を行います。

精神療法では認知行動療法が有効であることが分かっています。

治療には時間がかかるため根気強く病気と向き合っていく必要があります。

文献

  • 1) 笠原敏彦:対人恐怖と社会恐怖(ICD-10)の診断について. 精神経誌, 97 ; 357-366, 1995.
  • 2) 川上 憲人 : 精神疾患の有病率等に関する大規模疫学調査研究:世界精神保健日本調査セカンド. 2016.
  • 3) Kessler, RC. et al. : Lifetime prevalence and age-of-onset distributions of DSM-IV disorders in the National Comorbidity Survey Replication. Arch Gen Psychiatry, 62 : 593-602, 2005.
  • 4) Hettema, JM. et al. : A review and meta-analysis of the genetic epidemiology of anxiety disorders. Am J Psychiatry, 158 : 1568-78, 2001.
  • 5) Clauss, JA. et al : Behavioral inhibition and risk for developing social anxiety disorder: a meta-analytic study. J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 51 : 1066-1075, 2012.
  • 6) Bruijnen, CJWH. et al. : Social anxiety disorder and childhood trauma in the context of anxiety (behavioural inhibition), impulsivity (behavioural activation) and quality of life. S Afr J Psychiatr, 25 : 1189, 2019.
  • 7) Etkin, A. et al. et al. : Functional neuroimaging of anxiety: a meta-analysis of emotional processing in PTSD, social anxiety disorder, and specific phobia. Am J Psychiatry, 164 : 1476-88, 2007.
  • 8) Doruyter, AG. et al. : Nuclear Neuroimaging in Social Anxiety Disorder: A Review. J Nucl Med, 59 : 1794-1800, 2018.
  • .
  • 9) Koyuncu, A. et al. : Comorbidity in social anxiety disorder: diagnostic and therapeutic challenges. Drugs Context, 8 : 212573, 2019.
  • 10) Katzelnick, DJ. et al. : Impact of generalized social anxiety disorder in managed care. Am J Psychiatry, 158 : 1999-2007, 2001.
  • 11) Davidson, JR. et al. : The epidemiology of social phobia: findings from the Duke Epidemiological Catchment Area Study. Psychol Med, 23 : 709-18, 1993.

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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