公開日 2025.7.4
作用・特徴
潤腸湯(ジュンチョウトウ)は便秘の治療に使用されます(図1)。
図1 潤腸湯の効果
潤腸湯は、ヒト嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンスレギュレーター(CFTR)の活性化を通じて、腸内の水分分泌を促進することが報告されています1)、(図2)。
図2 潤腸湯の便秘改善の作用機序
名称通り、腸を潤す薬と言えます。
潤腸湯の構成生薬の1つの、大黄の成分であるエモジンは、マウスモデルの統合失調症症状を改善することが報告されています2)。
また、マウスモデルの不安とうつ症状を改善することも示されています2)。
不安の治療に使用される、半夏厚朴湯の構成生薬の1つの厚朴も含んでいます。
厚朴の成分のホノキオールは、抗不安作用を有するとされています3)。
これらから、精神面も考慮した便秘治療薬として、精神科、心療内科では、大建中湯と並び多く使用されます。
使用目標(証)は、体力中等度あるいはやや低下した人の弛緩性または痙攣性便秘に用いる。
- 1)老人あるいは胃腸機能の低下した人の便秘
- 2)皮膚枯燥、腹壁弛緩し糞塊が触知される場合
とされています。
図3 潤腸湯の東洋医学的使用目標
潤腸湯は以下の生薬から構成されています(図4)。
- 地黄(ジオウ)
- 当帰(トウキ)
- 黄芩(オウゴン)
- 枳実(キジツ)
- 杏仁(キョウニン)
- 厚朴(コウボク)
- 大黄(ダイオウ)
- 桃仁(トウニン)
- 麻子仁(マシニン)
- 甘草(カンゾウ)
図4 潤腸湯の構成生薬
剤型
医薬品のツムラの漢方薬(51番)は1包顆粒2.5gとなっています(図5)。
図5 潤腸湯の剤型(ツムラ医療用)
効能・効果
効能・効果は以下となっています。
- 便秘
用法・用量[ツムラ潤腸湯(医療用)]
通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減するとなっています。
副作用
頻度は不明ながら以下が挙げられています。
重大な副作用
- 間質性肺炎
- 偽アルドステロン症
- ミオパチー
- 肝機能障害、黄疸
その他の副作用
消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等
参考
- 1) Numata T, et al.: Cellular mechanism for herbal medicine Junchoto to facilitate intestinal Cl-/water secretion that involves cAMP-dependent activation of CFTR.
- 2) Mitra S, et al.: Exploring the journey of emodin as a potential neuroprotective agent: Novel therapeutic insights with molecular mechanism of action. Biomed Pharmacother, 149:112877, 2022.
- 3) Kuribara H, et al.: The anxiolytic effect of two oriental herbal drugs in Japan attributed to honokiol from magnolia bark. J Pharm Pharmacol, 52: 1425-9, 2000.
漢方関連コラム一覧
- 柴朴湯(サイボクトウ)の効果・作用・副作用
不安神経症、咳、気管支喘息などに使用されます。 - 半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)の効果・作用・副作用
神経性胃炎、下痢、過敏性腸症候群、口内炎、二日酔い等に使用されます。 - 葛根湯(カッコントウ)の効果・作用・副作用
かぜや肩こり、じんましん等に効果があり、使用されています。 - 麻黄湯(マオウトウ)の効果・作用・副作用
インフルエンザの感染初期、かぜを引いた時に効果があります。 - 柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)の効果・作用・副作用
体が弱く、冷え症で繊細な方の更年期障害、血の道症、神経症、不眠症などに効果があります。 - 麦門冬湯(バクモンドウトウ)の効果・作用・副作用
痰のきれにくい咳、気管支炎などに使用されます。 - 半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)の効果・作用・副作用
不安や気分の落ち込みをやわらげ、ストレスによるのどのつかえ感を改善する作用があります。 - 加味帰脾湯(カミキヒトウ)の効果・作用・副作用
体質的に体の弱い人の不安・不眠を改善する作用があります。 - 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)の効果・作用・副作用
疲れやすく、足腰が冷えやすい人のPMS、更年期障害、不妊症などに用いられます。 - 補中益気湯(ホチュウエッキトウ)の効果・作用・副作用
慢性的な疲労や病後の、体力回復・免疫力回復のために多く用いられます。夏バテ時や感染症罹患後・手術後などの体力回復・免疫力回復のために使用されることもあります。 - 抑肝散(ヨクカンサン)の効果・作用・副作用
イライラ感や、不眠、小児の夜泣きなどに使用されます。 - 五苓散(ゴレイサン)の効果・作用・副作用
むくみや頭痛、めまい、下痢などに効果があり使用されます。 - 六君子湯(リックンシトウ)の効果・作用・副作用
胃腸の弱い人の食欲不振、胃痛、嘔気等に使用されます。 - 加味逍遥散(カミショウヨウサン)の効果・作用・副作用
PMS・PMDD(月経前不快気分障害)、更年期障害に有効で治療に用いられています。 - 柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)の効果・作用・副作用
比較的体力がある人のイライラや不眠に使用されます。高血圧や陰萎に用いられることもあります。 - 防風通聖散(ボウフウツウショウサン)の効果・作用・副作用
肥満や便秘、むくみに使用されます。 - 防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)の効果・作用・副作用
色白で水ぶとりしやすい体質の方の肥満、多汗、むくみ、関節炎等の治療に用いられます。 - 大柴胡湯(ダイサイコトウ)の効果・作用・副作用
比較的体力がある人の生活習慣病、肥満症、肝・胆疾患等に使用されます。 - 呉茱萸湯(ゴシュユトウ)の効果・作用・副作用
手足が冷えやすい人の片頭痛、慢性頭痛、嘔吐等に使用されます。 - 小青竜湯(ショウセイリュウトウ)の効果・作用・副作用
花粉症の時期のアレルギー性鼻炎の治療に多く用いられます。 - 苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)の効果・作用・副作用
めまい、動悸、神経症などに使用されます。 - 桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)の効果・作用・副作用
精神不安、陰萎、小児の夜尿症等に用いられています。 - 四逆散(シギャクサン)の効果・作用・副作用
胃炎、胃酸過多やイライラ等に使用されます。 - 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)の効果・作用・副作用
体格がしっかりしている人の更年期障害や、月経不順、月経困難等に使用されます。 - 女神散(ニョシンサン)の効果・作用・副作用
産前産後の神経症や月経不順に使用されます。 - 大建中湯(ダイケンチュウトウ)の効果・作用・副作用
腹痛や腹部膨満、便秘に効果があり、使用されています。 - 四物湯(シモツトウ)の効果・作用・副作用
月経不順、冷え性、産後の疲労回復、血の道症等に使用されています。 - 潤腸湯(ジュンチョウトウ)の効果・作用・副作用
便秘の治療に使用されます。
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症