高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 高津区 溝口

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パニック障害(パニック症)について

症状

パニック障害は突然激しい恐怖感に襲われ、息苦しさ、動悸、めまいなどの症状が出現するパニック発作が繰り返す病気です。

アメリカ精神医学会は診断基準の中で以下の症状を挙げています(一部簡略)。

またパニック障害では「また同じような発作がおきたらどうしよう」という「予期不安」が生じます。

予期不安に続いて「逃げられない場所で発作が起きたらどうしよう」という恐怖のため、バスや電車に乗ると不安が生じ、乗ることを避けたり、映画館などの閉ざされた環境に不安を感じ、回避するようになる「広場恐怖」が生じることがあります。

有病率・遺伝率

日本での有病率は0.6%(男性0.4%、女性0.7%)1)、米国では3.7%と報告されています2)(図1)。

(図1)


遺伝率は48%と報告されています3)(図2)(遺伝の素因が引き継がれる確率が48%ということで、48%の確率で発症するといことではありません)。

(図2)


病因・病態

気質要因として不安への過敏さ、神経症的傾向が挙がられています4)、5)。

環境要因として幼少期に虐待を受けた体験、うつ病の既往、発症前の生活上でのストレスの大きい出来事などが挙げられています6)、7)。

また、喫煙、運動不足、カフェイン摂取、アルコールの飲み過ぎ、鉄分不足も要因として挙げられています8)、9)、10)、11)、12)。

生物学的病態としては扁桃体(図3)の機能異常と構造変化が関与することが指摘されています13)。また、空気中の二酸化炭素の上昇への感受性が過敏になっていることが報告されています14)。

近年の画像研究では扁桃体、脳幹の活動性増加、前頭前皮質の活動性低下が指摘されています15)(図4)。

(図3)


(図4)


治療

治療は薬物療法と精神療法と生活習慣の見直しを組み合わせます。

薬物療法ではSSRIという脳内のセロトニンの働きを強める薬とベンゾジアゼピンという抗不安薬を使用します。

SSRIがメインとなる薬ですが効果がでるまで2週間ほどかかります。

徐々に不安に対応できるように脳の反応が変化していきます。

ベンゾジアゼピンは不安に対し即効性がありますが、一時的なものでSSRIのように根本的に症状改善をもたらすものではありません。

そのため、SSRIの効果が出るまで併用し、その後減量することを目指します。減量後は頓用での対応を行います。

精神療法では不安への対処法をお伝えしたり、薬の効果が出てきて症状が落ち着いた頃に、少しずつ不安な場面になれていく練習を進めます。

認知行動療法の有効性も認められていますが、日本の保険医療機関ではまだ十分に提供できる施設は限られています。

生活習慣の見直しでは喫煙される方では禁煙が効果があります8)。運動習慣の少ない方では有酸素運動が効果があります16)。

コーヒーが好きでコーヒーをよく飲む、眠気を覚ますためにエナジードリンクを飲んでいるなどの場合はカフェインの影響でパニック発作を起きやすくなるため、控えることが望ましいです。

コーヒーが好きな方はカフェインレスコーヒーが販売していますので、そちらを活用して頂ければコーヒーを楽しむことができます。

アルコールの飲み過ぎも発作の誘因となるので控える必要があります。睡眠不足もパニック発作を起こしやすくするため、十分な睡眠が大切です17)。

また、特に女性ではダイエットや月経の影響などにより鉄分不足が起きることがあります。

鉄分不足はパニック発作の誘因になるので栄養を意識した適切な食事が必要です。生活の習慣の見直しを図5にまとめます。

(図5)


最後に生活習慣ではなく生活環境を一点挙げさせて頂きます。パニック障害の患者さんは二酸化炭素への感受性が高いので、自宅の部屋の通気を良くしておくと自宅で過ごしやすくなります。

部屋についている換気口は閉めずにあけておくようにする。夜間寝室で発作が起きやすい場合は寝室のドアを少し開けて空気の循環を良くしておくと良いです。

文献