抗不安薬とは一般的にベンゾジアゼピン系抗不安薬というお薬のことを指します。
日本ではデパス(一般名:エチゾラム)が有名です。
デパスは厳密にはベンゾジアゼピンに化学構造式を似せて作られたお薬ですが、作用の仕方は一緒ですので区別せずに扱いたいと思います。
欧米では以下のようなお薬が使用されます。
ジアゼパムは不安を抑える効果と作用の時間が他の薬剤と比較し、真ん中くらいになるので基準薬とされています。
以下にベンゾジアゼピン系抗不安薬の抗不安の効果と作用時間を比較した図を示します(図1)。
ベンゾジアゼピンというお薬は脳内のベンゾジアゼピン受容体というところに結合し、神経の興奮を抑える物質であるGABA(γ-アミノ酪酸)の働きを強めます。
その結果、以下のような効果があります。
眠くなる効果を強めた薬はベンゾジアゼピン系睡眠薬として睡眠薬として使用されています。
抗不安薬として使用する際、眠気が強い場合は副作用になるとも言えます。
代表的なベンゾジアゼピン系抗不安薬のプロフィールを以下に示します。
ジアゼパムは作用が穏やかで全体のバランスが良いという特徴があります。坐薬は小児の熱性けいれんにも使用されます。
エチゾラムは抗不安作用、催眠作用が強いので睡眠薬としても使用されることがあります。
筋弛緩作用も強いので筋肉のコリ、緊張型頭痛などにも使用されます。
ロラゼパムは抗不安作用と抗けいれん作用が強い特徴があります。てんかん発作を止めるための注射液も承認されています。
肝臓での薬の代謝(分解)が複雑でなく食事や他のお薬の内服の影響を受けにくいとい特徴もあります。
ロフラゼプ酸エチルは抗不安作用と抗けいれん作用が強い特徴があります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬のデメリットとしてはふらつきが生じることがあります。
正確には協調運動障害という体のバランスを保ち細かい運動をすることに影響がでることです。
エチゾラム(デパス)は度合いが強く、ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)は弱い傾向があります。
また作用時間が短く、作用の強い薬は作用時間が長い薬に比べると、長期の内服で依存、耐性が生じやすいとされています。
そのため、不安や緊張などの症状、他の疾患の併存に応じてお薬を選択することになります。