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クロナゼパム(ランドセン・
リボトリール)の 特徴・作用・副作用

公開日 2023.5.8

作用・特徴

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)は、スイスのロシュ社によって合成されたベンゾジアゼピン系に属する薬で、けいれんと不安を抑える作用が強い特徴を有しています1)~3)(図1)。

図1 ベンゾジアゼピン系薬の抗けいれん作用の強さの比較

ベンゾジアゼピン系薬の抗けいれん作用の強さの比較

そのため、日本では抗てんかん薬として承認され、1981年から発売されています。

住友ファーマ社よりランドセンの商品名で、太陽ファルマ社よりリボトリールの商品名で販売されています。

化学構造的にベンゾジアゼピン環の側鎖7位部位がニトロ基(-NO2)に置換されることで抗けいれん作用が強化されていることが示唆されています3)、(図2)。

図2 ベンゾジアゼピン環側鎖7位のニトロ基への置換

ベンゾジアゼピン環側鎖7位のニトロ基への置換

睡眠剤・抗てんかん薬として承認されているニトラゼパム(先発医薬品名:ベンザリン)と、同じロシュ社により、一連の開発過程で合成されたため、薬理学的に近縁関係であることがわかっています4)、(図3)。

図3 ニトラゼパム(ベンザリン)とクロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の化学構造式

ニトラゼパム(ベンザリン)とクロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の化学構造式

そのため、クロナゼパムも強い催眠作用を有しています1)、(図4)。

図4 クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の作用

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の作用

てんかん以外にも、抗不安薬としてパニック症(パニック障害)を含めた不安障害や様々な疾患に使用されています5)。

剤型

剤型は錠剤0.5mg錠、1mg錠、2mg錠と細粒0.1%と0.5%があります(図5)。

図5 クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の剤型(錠剤)

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の剤型(錠剤)

効能・効果

効能・効果は以下となっています。

保険承認上の効能・効果は上記ですが、パニック症(パニック障害)や社交不安症(社交不安障害)等の不安障害にも使用されます5)。

また、以下の疾患等にも有効であることが分かっています。

米国では「けいれん性疾患(特にレノックスガストー症候群、無動発作、ミオクローヌス発作、ミオクローヌス)」、「パニック障害」に保険承認を得ています。

英国では「てんかん及びけいれん(特に欠神発作、強直間代発作、部分発作、ミオクローヌス発作、ミオクローヌス)」に保険承認を得ています(図6)。

図6 クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の各国の保険適応

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の各国の保険適応

用法・用量

通常成人、小児は、初回量として、1日0.5~1mgを1~3回に分けて内服します。

以後、 症状に応じて効果が得られるまで徐々に増量します。

通常、維持量は1日2~6mgを1~3回に分けて内服します。

乳、幼児は、初回量として、1日体重 1kgあたり0.025mgを1~3回に分けて内服します。

以後、症状に応じて効果が得られるまで徐々に増量します。

通常、維持量は1日体重1kgあたり0.1mgを1~3回に分けて内服します。

なお、年齢、症状に応じて適宜増減します。

薬物動態

肝臓で薬物代謝酵素CYP3A4及びN-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)により代謝されます15)、(図7)。

図7 クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の肝臓における代謝

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)の肝臓における代謝

クロナゼパム1mgを1日1回内服した際は血液中の濃度は約2時間で最高濃度に達し、約27時間後に半分に下がります(図8)。

図8 クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)を1回内服した際の血中濃度の推移

クロナゼパム(ランドセン・リボトリール)を1回内服した際の血中濃度の推移

副作用

承認時まで調査症例5,206例中1,423例(27.3%)に副作用が認められ、代表的なものは以下でした。

文献

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執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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