高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

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当帰芍薬散の
効果・作用・副作用

公開日 2023.12.25

作用・特徴

当帰芍薬散は疲れやすく、足腰が冷えやすい人のPMS、更年期障害、不妊症などに用いられます(図1)。

図1 当帰芍薬散の作用と効果

当帰芍薬散の作用と効果

加味逍遥散、桂枝茯苓丸とともに婦人科3大処方と呼ばれています。

当帰芍薬散は流産抑制や、子宮内膜症の病変を減少させ、痛みを緩和させる作用を有すことが報告されています1)、2)。

これらの作用は、当帰芍薬散が炎症性サイトカインを減少させることがメカニズムとして示されています1)、2)。

また、感染症罹患後の嗅覚障害の改善に有効なことが報告されており3)、新型コロナウイルス感染症に伴う嗅覚障害の治療にも用いられます。

嗅覚障害は嗅球における神経成長因子(nerve growth factor : NGF)の発現を増加させ、嗅覚ニューロンの再生を促進することが、改善に寄与することが示唆されています4)。

中年女性の頭痛と頭痛に伴ううつ症状の改善も報告されています5)。

使用目標(証)は、比較的体力の低下した成人女子に用いられることが多く、一般に冷え症で貧血傾向があり、性周期に伴って軽度の浮腫、腹痛などを呈する場合に用います(図2)。

とされています。

図2 東洋医学的使用目標

東洋医学的使用目標

当帰芍薬散は、ナチュラルキラーT細胞の活性化に伴うサイトカイン放出を抑制することにより、流産率を低下させることが示唆されています1)、(図3)。

図3 ナチュラルキラーT細胞活性化モデルマウスによる当帰芍薬散の安胎効果

ナチュラルキラーT細胞活性化モデルマウスによる当帰芍薬散の安胎効果

当帰芍薬散は以下の生薬から構成されています(図4)。

図4 当帰芍薬散の構成生薬

当帰芍薬散の構成生薬

剤型

医薬品のツムラの漢方薬(23番)は1包顆粒2.5gとなっています(図5)。

図5 当帰芍薬散の剤型(ツムラ医療用)

当帰芍薬散の剤型(ツムラ医療用)

効能・効果

筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすいものの次の諸症がみられます。

用法・用量[ツムラ当帰芍薬散(医療用)]

通常、成人1日7.5gを2~3回に分割し、食前又は食間に内服します。

なお、年齢、体重、症状により適宜増減します。

副作用

頻度は不明ながら以下が挙げられています。

参考

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執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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