高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

高津心音メンタルクリニック 心療内科・精神科 川崎市 溝の口

睡眠薬について⑤
ドリエル

公開日 2021.4.5

第1世代抗ヒスタミン薬ジフェンヒドラミンについて

ドラッグストアで購入可能な睡眠導入剤のドリエルは脳内のヒスタミンの受容体をブロックする抗ヒスタミン薬に分類される薬です。

ヒスタミンは末梢の血管ではアレルギー反応に関わり、脳内では眠気、食欲を抑え覚醒に関わっています 1)。

脳内での作用には他にけいれんの抑制などがあります 2)。

ドリエルの成分は第1世代抗ヒスタミン薬に分類されるジフェンヒドラミンといものです。

第1世代抗ヒスタミン薬には他にプロメタジン(商品名:ヒベルナ、ピレチア)、ヒドロキシジン(商品名:アタラックスP)、クロルフェニラミン(商品名:ポララミン)などがあります。

もともとアレルギー性鼻炎や蕁麻疹の治療の目的に開発され使用されましたが、脳内のヒスタミンの受容体をブロックして眠気をもよおす副作用がありました。

その副作用を睡眠薬として利用したのがドリエルです。

脳内への移行を防ぎ眠気を軽減するように開発されたものがアレグラなどの第2世代抗ヒスタミン薬です(図1)。

  図1

乗り物酔い止め薬のトラベルミンも同じ成分のジフェンヒドラミンです。

乗り物酔い止めで日中使用した場合は、乗り物酔いに効果があるものの眠気が出てしまうこともあります。

第1世代抗ヒスタミン薬が睡眠にもたらす大きな作用は寝付きを良くすることです。

睡眠中への影響は大きな変化はありません(専門的にはいくらかの変化はあります)。

ジフェンヒドラミンは内服後8~10時間程血液中の濃度が持続します(図2)。

また、脳内に移行しヒスタミンの受容体に結合したジフェンヒドラミンは12時間後も一定に維持されており、翌日の眠気につながることがあります 3)。

  図2

脳の構造変化から高齢者ではてんかんのリスクが他の年齢に比べ高くなります。そのため、脳内に移行しやすい第1世代抗ヒスタミン薬はけいれん発作を誘発するリスクがあるため注意が必要です 4)。

また、抗ヒスタミン薬はレストレスレッグス症候群のリスクとなります。

ドリエルをのんで足がムズムズする症状がでた場合はレストレスレッグス症候群の可能性があります5)。

第1世代抗ヒスタミン薬は抗コリン作用という作用ももっており、緑内障や前立腺肥大症がある場合は注意が必要です。

ヒスタミンは覚醒を中心に多様な作用を担っており、ヒスタミンをブロックし眠気を得ることは副作用にも注意が必要です。

【文献】

睡眠薬の関連コラム一覧

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

医師紹介ページはこちらから