現在睡眠薬は主にオレキシン受容体拮抗薬、Z-ドラッグ、メラトニン受容体作動薬というものが主となっています。
オレキキシン受容体拮抗薬にはレンボレキサント(商品名:デエビゴ)とスボレキサント(商品名:ベルソムラ)があります。
Z-ドラッグにはゾルピデム(商品名:マイスリー)、ゾピクロン(商品名:アモバン)、エスゾピクロン(品名:ルネスタ)があります。
これらは一般名表記が英語でZolpidem、zopiclone、eszopicloneとルネスタ以外頭文字にZがつくことからそのように呼ばれています。
メラトニン受容体作動薬にはラメルテオン(商品名:ロゼレム)があります。
また小児の神経発達症を対象にメラトニン(商品名:メラトベル)そのものも現在認可されています。
これらの睡眠薬の特徴は今後コラムの中で記載させて頂きたいと思います。
以下に上記の睡眠薬を比較した図を記載します(図1)。
以前はベンゾジアゼピン系睡眠薬というベンゾジアゼピンの催眠効果を高めた薬剤が主流でしたが徐々に上記のような薬剤にかわってきています。
しかし、以前から使用されている薬で安定されている方や上記の薬がどれも合わないという方もいます。
その場合、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が必要となるケースもあります。
その場合は不眠の状態や体の病気の合併症等を把握しながら慎重に薬剤を選択することになります。
一般的に以下のような薬剤の効果の時間による分類がよく使われます(図2)。
しかし、この分類は十分でないところがあります。
例えば、長時間型に分類されるフルラゼパム(ダルメート)は作用時間が平均約24時間ですが、中時間型に分類されるニトラゼパム(商品名ベンザリン)は作用時間が平均約27時間です。
(ただし、肝臓で代謝された後の代謝産物というものが薬にはあり、それらが体から抜けていく時間は中時間型、長時間型作用の睡眠薬には個人によってかなり幅があります)。
また、薬の強さを踏まえた捉え方も重要かと思います。
以下に上記を踏まえたベンゾジアゼピン系睡眠薬を比較した図を記載します(図3)。
作用時間が24時間であれば24時間寝続けるということではありません。
薬がだいたい半分ほど体から抜けていく時間を目安に作用時間としています。
とはいえ、効き過ぎてしまうことがあり午前中に眠気が残る持ち越し効果と呼ばれる現象が生じることもあります。
そのため、処方が必要な際は新しいタイプの睡眠薬も含めて、薬の強さの検討や用量調整を慎重に行います。