高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

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睡眠薬について③
デエビゴ、ベルソムラ

公開日 2021.2.12

オレキシン受容体拮抗薬について

オレキシン受容体拮抗薬は現在(2021年2月コラム記載時)最も新しい作用の睡眠薬で、レンボレキサント(商品名:デエビゴ)とスボレキサント(商品名:ベルソムラ)があります。

オレキシンは日本人の櫻井武先生によって同定された物質で、脳内で睡眠・覚醒に関与するとともに、摂食行動、報酬系、情動にかかわるとされています 1)、2)。

オレキシンが結合する受容体にはオレキシン受容体1とオレキシン受容体2があり、レム睡眠の抑制には受容体1と受容体2の両方が、覚醒の安定には主に受容体2が関与(受容体1も一部関与)しています 2)。

デエビゴもベルソムラもオレキシン受容体1とオレキシン受容体2を阻害(ブロック)することで覚醒状態から睡眠へと導きます(図1)。

オレキシン2受容体阻害の強さがより睡眠に強く関与すると考えられており 3)、4)、デエビゴはベルソムラより睡眠に対する作用が強いと想定されます。デエビゴとベルソムラの強さの比較を示します(図2)。

オレキシン受容体拮抗薬は依存性のリスクが極めて低いと考えられています。

また筋弛緩作用が少なく転倒のリスクが少ないこと、内服後の健忘などの認知機能への影響も少ないこと、呼吸機能への影響がすくないこと、緑内障などの眼圧への影響がないこともメリットです 5)、6)、7)、8)。

一方でデメリットしては以下があげられます。

【文献】

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執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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