高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

高津心音メンタルクリニック 心療内科・精神科 川崎市 溝の口

自律神経失調症の薬トフィソパム
(グランダキシン)について

公開日 2022.9.28

特徴・作用

トフィソパム(グランダキシン)は自律神経を制御している脳の部位である視床下部に作用し、自律神経のバランスを整え、自律神経失調症を改善する薬です1)。

ベンゾジアゼピン系化合物に属しますが、他のベンゾジアゼピンが1,4-ベンゾジアゼピンであるの対し、トフィソパム(グランダキシン)は2,3-ベンゾジアゼピン構造で、依存・耐性が生じにくいことがわかっています2)、3)、(図1)。

図1 1,4-ベンゾジアゼピンとグランダキシン(2,3-ベンゾジアゼピン)

また、他のベンゾジアゼピンと異なり、抗不安作用は持ちつつ、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用を有さないこともわかっています3)、4)。

鎮静作用はなく、軽度の覚醒効果を示すことが報告されています5)。

効果・効能

保険承認における効果・効能は下記疾患における頭痛・頭重、倦怠感、心悸亢進、発汗等の自律神経症状となっています。

用法・用量

通常、成人には1回50mg、1日3回経口投与する。

なお、年齢・症状により適宜増減するとなっています。

薬物動態

内服後に血液中の濃度は約1時間で最高濃度に達し、約47分後に血液中の濃度は半分に下がります(図2)。

図2 トフィソパム(グランダキシン)内服時の血中濃度の推移

副作用

承認時までの治験による副作用発現は813例中60例(7.4%)で主なものは、眠気21例(2.58%)、倦怠感10例(1.23%)、ふらつき8例(0.98%)、口渇8例(0.98%)と5%を超える副作用はなく、副作用は少ないことがわかっています(図3)。

図3 トフィソパム(グランダキシン)の主な副作用

近年の動向

トフィソパム(グランダキシン)は日本で1985年に承認されて以降、心療内科・精神科だけでなく、耳鼻科でのめまい治療や婦人科での更年期障害治療など多岐にわたり使用されてきました。

近年は使用頻度は減少傾向ですが、自律神経失調症の症状を有しており、なかなか他の治療法で改善しない場合に使用すると改善が得られることがあります。

自閉スペクトラム症では自律神経兆候を有していることが多く、トフィソパム(グランダキシン)を少量使用すると、症状の改善が得られることがあります。

近年は他のベンゾジアゼピンと異なり、認知機能への影響を有さず、抗健忘効果が示す研究や抗うつ効果を示す研究報告もされており6)、7)、あらたな期待がもたれています。

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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