公開日 2025.7.28
作用・特徴
ベルソムラは、入眠作用はマイルドで、睡眠維持効果はしっかりと得られる特徴があります。
オレキシン受容体に作用し、自然な眠りをもたらします。
オレキシンニューロンは脳の各部位に投射し、日中の覚醒を維持しています(図1)。
オレキシンニューロンの覚醒のはたらき
ベルソムラはオレキシン1受容体とオレキシン2受容体をブロックして、オレキシンの働きを抑制し、睡眠へ傾けます(図2)。
ベルソムラの作用機序
効能・効果
保険承認における効能・効果は不眠症となっています。
近年、ベルソムラはアルツハイマー型認知症における総睡眠時間、中途覚醒、睡眠効率の改善に有効であることが示唆されています1)。
また、入院患者における過活動せん妄の予防効果も示唆されています。 (ただし、低活動せん妄も含めた、せん妄全体の予防効果はいまのところ示されていません。)2)。
用法・用量
通常、成人では、1日1回20 mgを、高齢者には1日1回15 mgを就寝直前に内服するとなっています。
剤型
剤型は10mg錠、15mg錠、20mg錠があります(図3)。
ベルソムラの剤型
薬物動態
ベルソムラ10mgを内服すると、約1.5時間後に最高血中濃度に達し、約12時間後に血液中の濃度は半減します。
ベルソムラ20mgを内服すると、約1時間後に最高血中濃度に達し、約12時間半後に血液中の濃度は半減します(図4)。
ベルソムラの血中濃度の推移
ベルソムラの肝での代謝には主にCYP3A4が主に関与し、CYP P2C19もわずかに関与します(図5)。
ベルソムラの代謝
また、CYP3A4の阻害作用を有しています。
併用禁忌
以下の薬剤は、ベルソムラの代謝酵素であるCYP3Aを強く阻害し、ベルソムラの血漿中濃度を顕著に上昇させるため併用禁忌となっています。
- イトラコナゾール(イトリゾール)
- ポサコナゾール(ノクサフィル)
- ボリコナゾール(ブイフェンド)
- クラリスロマイシン(クラリシッド)
- ボノプラザン・アモキシシリン・クラリスロマイシン(ボノサップ)
- ラベプラゾール・アモキシシリン・クラリスロマイシン(ラベキュア)
- リトナビル(ノービア)
- ニルマトレルビル・リトナビル(パキロビッド)
- エンシトレルビル(ゾコーバ)
副作用
治験における1%以上の副作用は以下の報告がありました(図6)。
- 傾眠(4.7%)
- 頭痛(3.9%)
- 疲労(2.4%)
- 悪夢(1.2%)
ベルソムラの副作用
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まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。
【文献】
- 1) Alshiban A, et al.: Efficacy And Safety of Dual Orexin Receptor Antagonist (DORA) For Sleep Disturbance in Patients With Alzheimer's Disease Dementia. A Review Article. Am J Geriatr Psychiatry, 33: 209-218, 2025.
- 2) Hatta K, et al.: Suvorexant for Reduction of Delirium in Older Adults After Hospitalization: A Randomized Clinical Trial. JAMA Netw Open, 7: e2427691, 2024.
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