川崎市高津区溝の口の心療内科・精神科 高津心音メンタルクリニック

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睡眠薬②
マイスリーの効果・作用・副作用

公開日 2025.8.12

特徴・作用

ゾルピデム(マイスリー)は寝つきを良くし、深い睡眠をもたらします1)、2)。

マイスリーは深い眠りをもたらす徐波睡眠(slow wave sleep: SWS)を増加させることがわかっています(図1)。

図1 トリアゾラム(ハルシオン)とゾルピデム(マイスリー)の深睡眠の比較

トリアゾラム(ハルシオン)とゾルピデム(マイスリー)の深睡眠の比較

マイスリーは脳のベンゾジアゼピン受容体のサブタイプ(ω1: オメガ1受容体)に結合し、GABAの機能を増強し、睡眠作用を高めます。

効能・効果

保険承認による効能・効果は、不眠症(統合失調症及び躁うつ病に伴う不眠症は除く)となっています。

近年、マイスリーはジストニアへの有効性が報告されており、治療に使用されています3)、4)。

用法・用量

通常、成人では、1回5~10mgを就寝直前に内服する。なお、高齢者では1 回5mgから内服を開始する。年齢、症状、疾患により適宜増減するが、1日10mgを超えないこととするとなっています。

剤型

剤型は5mg錠と10mg錠があります(図2)。

後発医薬品のゾルピデムでは5mg錠、10mg錠、5mg口腔内崩壊錠、10mg口腔内崩壊錠があります。

図2 マイスリーの剤型

マイスリーの剤型

薬物動態

マイスリー5mgを内服した際は、血中濃度は約50分後に最高濃度に達し、約2時間後に半減します。

マイスリー10mgを内服した際は、血中濃度は約50分後に最高濃度に達し、約2.3時間後に半減します(図3)。

図3 ゾルピデム(マイスリー)の血中濃度の推移

ゾルピデム(マイスリー)の血中濃度の推移

食事の影響はほとんどありません。

マイスリーは主として肝臓で代謝され代謝酵素はCYP3A4が関与し、CYP2C9やCYP1A2も関与するとされています2)、(図4)。

図4 ゾルピデム(マイスリー)の肝臓での代謝

ゾルピデム(マイスリー)の肝臓での代謝

副作用

臨床試験で報告された1%以上の副作用は以下のものがあります(図5)。

  • 浮動性めまい(3.99%)
  • 傾眠(3.44%)
  • 倦怠感(2.81%)
  • 頭痛(2.81%)
  • 悪心(2.08%)
  • 記憶障害(1.08%)
  • 疲労(1.08%)
  • ALT上昇(1.08%)

図5 ゾルピデム(マイスリー)の副作用

ゾルピデム(マイスリー)の副作用

マイスリーは、内服後、眠ったまま起きて行動をして、その行動を覚えていないという症状が生じることがあります。

報告されている行動には以下があります

  • 車の運転
  • 食事の準備や摂取・睡眠関連摂食障害(Sleep-Related Eating Disorder: SRED)
  • 電話での会話
  • 性行為
  • 夢遊状態

同じZ-ドラッグでもルネスタは睡眠関連摂食障害の発生リスクは低い傾向にあります6)、(図6)。

図6 不眠症治療薬の睡眠関連摂食障害のリスク

不眠症治療薬の睡眠関連摂食障害のリスク

よくいただくご質問

マイスリーは女性の方が効果が強いのはなぜですか?

マイスリーは男性より女性の方は血中濃度が上昇することがわかっています7)、(図7)。

図7 ゾルピデム(マイスリー)の男女での血中濃度の違い

ゾルピデム(マイスリー)の男女での血中濃度の違い

これは、代謝酵素の働きの差と、体重差(女性の方が体重が低い)が主たる理由とされています7)、8)。

認知症の危険があると聞きましたが本当ですか?

現時点ではほとんど決定的とはいえません。

2025年3月、ゾルピデムに認知症及びアルツハイマー型認知症のリスクとの関連があるとの論文が発表されました9)。

この論文では10本の症例対照研究、9本のコホート研究が解析に含まれました。

しかし、実際には、ゾルピデムに対しては、4本の研究が解析対象で、かつ統計的有意差がないものが3本で実際には、1本の研究のみが対象でした(図8)。

図8 ゾルピデム(マイスリー)の認知症及びアルツハイマー型認知症のリスク解析

ゾルピデム(マイスリー)の認知症及びアルツハイマー型認知症のリスク解析

1本の研究は、台湾の2015年の症例対照研究でこれのみをもって、ゾルピデムが認知症及びアルツハイマー型認知症になると判断するには時期尚早といえます。

なぜマイスリーは睡眠関連摂食障害(SRED)のリスクが高いのですか?

マイスリーは深い睡眠(ノンレム睡眠のステージ3,4)を増加させます。

SREDはノンレム睡眠から不完全な覚醒へと移行する段階で生じるとされています10)、11)。

ノンレム睡眠が、マイスリーで延長することにより、障害が生じやすくなるとされています。

その点で、レム睡眠中に行動障害が生じる、レム睡眠行動障害に対し、“ノンレム睡眠行動障”としても捉えることができます。

おひとりで悩んでいませんか?

不眠症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。

【文献】

  • 1) Uchimura N, et al.: Effect of zolpidem on sleep architecture and its next-morning residual effect in insomniac patients: a randomized crossover comparative study with brotizolam. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry, 30: 22-9, 2006.
  • 2) Kanno O, et al.: Comparison of the effects of zolpidem and triazolam on nocturnal sleep and sleep latency in the morning: a cross-over study in healthy young volunteers. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry, 24: 897-910, 2000.
  • 3) Badillo SPJ, Jamora RDG.: Zolpidem for the Treatment of Dystonia. Front Neurol, 10:779, 2019.
  • 4) Horisawa S, et al.: Efficacy and Safety of Zolpidem for Focal Dystonia After Neurosurgical Treatments: A Retrospective Cohort Study. Front Neurol, 13:837023, 2022.
  • 5) Von Moltke LL, et al.: Zolpidem metabolism in vitro: responsible cytochromes, chemical inhibitors, and in vivo correlations. Br J Clin Pharmacol, 48: 89-97, 1999.
  • 6) Merino D, et al.: Medications as a Trigger of Sleep-Related Eating Disorder: A Disproportionality Analysis. 11: 3890, 2022.
  • 7) Yoon S, et al.: Effect of CYP3A4 metabolism on sex differences in the pharmacokinetics and pharmacodynamics of zolpidem. Sci Rep, 11: 19150, 2021.
  • 8) Cubała WJ, et al.: Zolpidem pharmacokinetics and pharmacodynamics in metabolic interactions involving CYP3A: sex as a differentiating factor. Eur J Clin Pharmacol, 66: 955, 2010.
  • 9) Vakili K, et al.: Use of Drugs Affecting GABAA Receptors and the Risk of Developing Alzheimer's Disease and Dementia: a Meta-Analysis and Literature Review. Mol Neurobiol, 62: 9449-9468, 2025.
  • 10) Ho T, et al.; Sleep-related eating disorder associated with zolpidem: cases compiled from a literature review. Sleep Med X, 2:100019, 2020.
  • 11) Inoue Y.: Sleep-related eating disorder and its associated conditions. Psychiatry Clin Neurosci, 69: 309-20, 2015.

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執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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