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ハロペリドール(セレネース)の
特徴・作用・副作用

公開日 2025.9.8

特徴・作用

ハロペリドールはドパミンD2受容体を遮断することにより、統合失調症の陽性症状である幻覚・妄想を改善します1)。

統合失調症だけでなく、双極性障害の躁病相にも有効であることがわかっています2)。

また、せん妄治療にも用いられています3)。

ハロペリドールは第1世代抗精神病薬(または定型抗精神病薬)という薬のジャンルに分類されます。

その中のブチロフェノン系という薬剤に分類されます。

開発経緯

統合失調症の薬物治療はクロルプロマジン(コントミン)とハロペリドールの開発によって大きく進展することになりました。

ハロペリドールは、ヤンセン研究所で、ポール・ヤンセン博士により開発されました。

図1 ポール・ヤンセンとヤンセン研究所

ポール・ヤンセンとヤンセン研究所

ハロペリドールは鎮痛薬のペチジンから、あたらたな鎮痛薬を創薬する研究段階で発見されました。

図2 ハロペリドール(セレネース)の開発

図2 ハロペリドール(セレネース)の開発

効能・効果

保険承認における効能・効果は「統合失調症、躁病」となっています。

米国では、統合失調症とチック症に保険承認を得ています。

用法・用量

  • <セレネース0.75mg錠、1mg錠、1.5mg錠、3mg錠、細粒1%>
    通常成人1日0.75~2.25mgから始め、徐々に増量する。維持量として1日3~6mgを内服する。なお、年齢、症状により適宜増減するとなっています。
  • <セレネース内服液0.2%>
    通常成人1日0.75~2.25mg(0.375~1.125mL)からはじめ、徐々に増量する。維持量として1日3~6mg(1.5~3mL)を内服する。なお、年齢、症状により適宜増減するとなっています。

剤型

剤型は、0.75mg錠、1mg錠、1.5mg錠、3mg錠、細粒1%、内服液0.2%があります。

図3 セレネース錠の剤型

セレネース錠の剤型

また、注射液があります。

図4 セレネース注射液の剤型

セレネース注射液の剤型

薬物動態

ハロペリドール1.5mgを内服した際は、血中濃度は約5.3時間後に最高濃度に達し、約51.6時間後に半減します。

図5 ハロペリドール(セレネース)1.5mgを内服した際の血中濃度の推移

ハロペリドール(セレネース)1.5mgを内服した際の血中濃度の推移

ハロペリドールは、カルボニル基の還元化のほか、酸化的脱アルキル化、グルクロン酸抱合等により代謝されます。

代謝酵素は、主としてCYP2D6とCYP3A4が関与しているとされています。

図6 ハロペリドール(セレネース)の体内での代謝

ハロペリドール(セレネース)の体内での代謝

副作用

副作用調査における3%以上の副作用は以下でした。

図7 ハロペリドール(セレネース)の主な副作用

ハロペリドール(セレネース)の主な副作用

ハロペリドールとリスペリドン(リスパダール)の違い

ハロペリドールは第1世代抗精神病薬に属し、リスペリドン(リスパダール)は、第2世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)に属します。

第1世代抗精神病薬にセロトニン5-HT2A受容体拮抗作用を取り入れたのが、リスペリドンです。

セロトニン5-HT2A受容体を阻害することで、錐体外路症状を軽減するととともに、陰性症状の改善効果も期待できるようになりました。

現在は、第2世代抗精神病薬・第3世代抗精神病薬MARTA(多元受容性標的化抗精神病薬)といった治療薬を使用するのが通常です。

ハロペリドールは、初回精神病エピソードでは1~5mg/日の用量で、症状の改善が期待できるとされています4)、5)。

錐体外路症状が生じない適切な治療用量は、D2受容体の60~80%以内に収めることが理想とされています。

ハロペリドールのPET研究では、1~5mg/日が53〜88%のD2受容体を占有すると報告されています6)。

図8 ハロペリドール(セレネース)の治療窓

ハロペリドール(セレネース)の治療窓

過去の再発エピソードや治療抵抗性エピソードなどでは、それ以上の用量が使用されることもありました。

この結果、セロトニン5-HT2A拮抗作用をもたないという、非定型性だけでなく、治療用量が治療窓(therapeutic window)を超えてしまっていたことも、錐体外路症状を多く惹起していたことの理由の1つです。

リスペリドンは治療用量に収まる範囲が多いことと、セロトニン5-HT2A拮抗作用をもつことにより、ハロペリドールより錐体外路症状が少ないことがわかっています7)。

図9 ハロペリドールとリスペリドンの用量反応性の錐体外路症状のリスク

文献

  • 1) Creese I, et al.: Dopamine receptor binding predicts clinical and pharmacological potencies of antischizophrenic drugs. J Neuropsychiatry Clin Neurosci, 192: 481-3, 1976.
  • 2) Kishi T, et al. : Pharmacological treatment for bipolar mania: a systematic review and network meta-analysis of double-blind randomized controlled trials. Mol Psychiatry, 27 : 1136-1144, 2022.
  • 3) Wu YC, et al.: Association of Delirium Response and Safety of Pharmacological Interventions for the Management and Prevention of Delirium: A Network Meta-analysis. JAMA Psychiatry, 76: 526-535, 2019.
  • 4) Oosthuizen P, et al.: Determining the optimal dose of haloperidol in first-episode psychosis. J Psychopharmacol, 15: 251-5, 2005.
  • 5) Keefe RS, et al.: Comparative effect of atypical and conventional antipsychotic drugs on neurocognition in first-episode psychosis: a randomized, double-blind trial of olanzapine versus low doses of haloperidol. Am J Psychiatry, 161: 985-95, 2004.
  • 6) Kapur S, et al.: The relationship between D2 receptor occupancy and plasma levels on low dose oral haloperidol: a PET study. Psychopharmacology (Berl), 131: 148-52, 1997.
  • 7) Siafis S, et al.: Antipsychotic dose, dopamine D2 receptor occupancy and extrapyramidal side-effects: a systematic review and dose-response meta-analysis. Mol Psychiatry, 28: 3267-3277, 2023.

執筆者:高津心音メンタルクリニック 院長 宮本浩司

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会認定専門医・指導医

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