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アルプラゾラム(ソラナックス・
コンスタン)の特徴・作用・副作用

公開日 2023.4.10

作用・特徴

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)は、ベンゾジアゼピン環にトリアゾール環を縮合した、トリアゾロベンゾジアゼピン系に属する薬です(図1)。

図1 トリアゾロベンゾジアゼピンの合成

トリアゾロベンゾジアゼピンの合成

他のベンゾジアゼピン系と比較し、作用が強いことが報告されています1)。

米国のアップジョン社(現ヴィアトリス社)と武田薬品社が同じ時期に研究で化合物を見出し、共同で開発を行い、1984年に承認を得ました。

アップジョン社(現ヴィアトリス社)からソラナックスの商品名で、武田薬品社からコンスタンの商品名で発売されることになりましたが、成分は同じアルプラゾラムです。

不安障害、特にパニック症(パニック障害)への有効性が示されています2)。

SSRIが効果でるまで、また、一時的な症状悪化時に頓用として一般的に使用されます。

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)はトリアゾラム(ハルシオン)と同じ開発過程で合成されたため、構造が似ており、抗不安作用だけでなく催眠作用も有しています2)。

図2 アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)とトリアゾラム(ハルシオン)の化学構造式

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)はトリアゾラム(ハルシオン)の化学構造式

抗不安作用と催眠作用よりは弱いですが、筋弛緩作用と抗けいれん作用も他のベンゾジアゼピン系抗不安薬と同様に有しています(図3)。

図3 アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)の作用

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)の作用

剤型

剤型は0.4mg錠と0.8mg錠があります(図4)。

図4 アルプラゾラム(先発医薬品ソラナックス・コンスタン)の剤型

アルプラゾラム(先発医薬品ソラナックス・コンスタン)の剤型

効能・効果

効能・効果は、心身症(胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、自律神経失調症)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害で保険承認を得ています。

米国ではパニック症(パニック障害)、全般性不安症(全般性不安障害)に承認を得ています。

英国では不安症(不安障害)に承認を得ています(図5)。

図5 アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)の各国の保険適応

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)の各国の保険適応

用法・用量

通常、成人では1日1.2mgを3回に分けて内服します。

なお、年齢、症状により適宜増減します。

増量する場合には最高用量を1日2.4mgとして漸次増量し、3~4回に分けて内服します。

高齢者では、1回0.4mgを1日1~2回内服から開始し、増量する場合でも1日1.2mgを超えないものとします。

薬物動態

アルプラゾラムは肝臓で代謝酵素CYP3A4により代謝されます。

そのため、向精神薬との併用では以下の点に注意が必要となります。

アルプラゾラムを1回内服した際の血液中の濃度は約40分~2時間で最高濃度に達し、約12~15時間で半減します4)、(図6)。

図6 アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)を1回内服した際の血中濃度の推移

アルプラゾラム(ソラナックス・コンスタン)を1回内服した際の血中濃度の推移

副作用

承認時までの調査症例1356例中265例(19.5%)に副作用が認められ、代表的な副作用は以下でした5)。

ベンゾジアゼピンは依存・耐性形成の問題とともに離脱症候群が指摘されており、中でも短時間で強い作用を有するアルプラゾラムやトリアゾラムはそのリスクの高さが指摘されています6)、7)。

これらのリスクを常に注視しつつ、パニック症で苦しむ当事者の方々の一助のため、慎重に治療に用います。

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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