高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

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チック症に対する治療
最新の比較

公開日 2023.12.4

2023年2月Farhatらは児童・AYA世代におけるチック症に対する薬剤の有効性と忍容性・受容性を比較し、解析しました。

効果の点では以下の薬剤の有効性が示されました。

有効性と受容性とを合わせて比較すると、以下の図1の結果でした。

図1 児童・AYA世代のチック症に対する薬物治療の有効性と受容性の比較

児童・AYA世代のチック症に対する薬物治療の有効性と受容性の比較

薬物治療による介入では、抗精神病薬が有効であり、薬剤間比較では、クロニジン(アドレナリンα2受容体作動薬)よりも、アリピプラゾール、リスペリドンの有効性が中程度の確実性で示されました。

一方、クロニジンのプラセボより有効であることが示され、抗精神病薬が使用できない場合には選択肢になると著者らは述べています。

Yangらが2019年に報告した、全年齢を対象としたチック症の薬剤の有効性と安全性の比較では以下の順に有効性が示されました2)。

図2 全年齢を対象としたチック症の薬剤の有効性の比較

全年齢を対象としたチック症の薬剤の有効性の比較

ただし、比較解析に組み込まれた研究の質等を考慮すると、アリピプラゾールとリスペリドンの有効性が堅牢であると著者らは述べています。

実際の治療の場でもアリピプラゾールを使用することが多く、米国ではチック症に承認を得ているものの、日本では承認を得ていない状況でした。

このような背景で、アリピプラゾールは、2022年にチック症に対し、保険承認における適応外使用が保険審査上認められることになりました。

Liangらは2021年に心理療法における有効性の解析を行い、以下の治療が有効であると報告しています3)。

図3 チック症に対する心理療法の効果の比較

チック症に対する心理療法の効果の比較

医療機器を用いた治療の有効性の解析では、脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)と反復経頭蓋磁気治療(repeat Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)の有効性が報告されています4)。

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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