高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

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体位性頻脈症候群(POTS)
について

公開日 2023.3.13

症状

体位性頻脈症候群(Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome;POTS)は横になっている状態から立ち上がると、心拍数が上昇し、立っていることが困難となる自律神経障害の一つです1)、2)。

以下のような症状を伴います1)、2)。

パニック症(パニック障害)の症状と類似するため、鑑別が必要とされています。

しかし、症状が満員電車の中で立っている時に生じることなどで、パニック症も生じることもあり、パニック症の誘因、併存疾患となっている場合もあります3)、4)。

診断

診断基準は以下となっています5)。

疫学

有病率は0.2~1.0%で女性に多いと報告されています。

ウイルス感染症、外傷、妊娠、手術、心理的ストレスが誘因になるとされています1)。

コロナウイルス感染症流行後、後遺症の一つとしてPOTSが生じることが報告されています6)。

併存疾患として以下の疾患等を伴うことが多いと報告されています5)、(図1)。

図1 体位性頻脈症候群(POTS)に併存する主な疾患

体位性頻脈症候群(POTS)に併存する主な疾患

病因・病態

病因として自己免疫の異常との関わりが指摘されおり、自己免疫疾患の併存率が高いことが報告されています3)、7)、(図2)。

図2 体位性頻脈症候群(POTS)に併存する自己免疫疾患

体位性頻脈症候群(POTS)に併存する自己免疫疾患

また、α1アドレナリン受容体に対する抗体が検出されている報告もあり8)、9)、免疫疾患としての研究が進められています。

他に交感神経系の活動亢進及びカテコラミンの過剰や心血管機能の低下等の関与が示唆されています5)。

以下の3つのタイプが提示されています10)。

治療

神経障害性POTSでは圧迫ストッキングの着用やミトドリンの内服が有効とされています。

血液減少性POTSでは有酸素運動、十分な水分の摂取、ナトリウムの摂取、ミトドリンの内服が有効とされています。

アドレナリン機能亢進型のPOTSではプロプラノロールなどのβ遮断約が有効とされています。

抗うつ薬のSSRISNRIは症状を悪化させる誘因となり、中止が推奨されています10)。

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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