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トリヘキシフェニジル(アーテン・
セドリーナ)の特徴・作用・副作用について

公開日 2023.8.21

作用・特徴

トリヘキシフェニジルは、ビペリデンと同じく、中枢神経のムスカリン性アセチルコリン受容体を阻害することにより、過剰となったコリン作動性神経の働きを抑制し、パーキンソン症候群・薬剤性パーキンソニズムを改善します。

薬剤性アカシジア、ジストニアに対しても使用されます。

1949年に米国のサイナミド社で開発され、日本では1953年からファイザー社よりアーテンの商品名で、第一三共株式会社からセドリーナの商品名で販売されました。

セドリーナは2021年9月からアルフレッサファーマ社に販売が移行しています。

トリヘキシフェニジルの化学構造式は、抗めまい薬のジフェニドール(先発医薬品名:セファドール)に似ていることがわかっています1)、(図1)。

図1 トリヘキシフェニジルとジフェニドールの化学構造式

トリヘキシフェニジルとジフェニドールの化学構造式

そのため、ジフェニドールも抗コリン作用を有しています。

剤型

剤型は先発医薬品のアーテンは錠剤2mg錠と細粒1%があります。

先発医薬品のセドリーナは錠剤2mg錠のみとなっています(図2)。

図2 トリヘキシフェニジル(先発医薬品:アーテン・セドリーナ)の錠剤(剤型)

トリヘキシフェニジル(先発医薬品:アーテン・セドリーナ)の錠剤(剤型)

効能・効果

保険承認による効能・効果は以下となっています。

効能又は効果に関連する注意として、抗パーキンソン病薬はフェノチアジン系薬剤、レセルピン誘導体等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しないとあります。

場合によってはこのような症状を増悪顕性化させることがあることが挙げられています。

保険承認は得られていないものの、ジストニアへの有効性も認められ、治療に用いられています2)、3)。

緊張型頭痛がある場合、頸部ジストニアが誘因となっていることがあります4)。

そのため、向精神薬(特に抗精神病薬)を内服している患者さんで緊張型頭痛がある場合は、薬剤性の頸部ジストニアが原因である場合があり、その際はトリヘキシフェニジルを治療に用いることがあります。

用法・用量

薬物動態

トリヘキシフェニジル4mgを1回内服した際の血中濃度は約1.3時間後に最高濃度に達しします。

二相性に半減し、第一相は5.3時間で組織内分布に対応し、第二相は約32.7時間で血中からの排泄に対応します(図3)。

図3 トリヘキシフェニジル4mgを1回内服した際の血中濃度の推移

トリヘキシフェニジル4mgを1回内服した際の血中濃度の推移

内服したトリヘキシフェニジルは水酸化代謝物の異性体(化合物Ⅱ)として代謝され、約56%が尿中に排泄されます5)、(図4)。

図4 トリヘキシフェニジルの代謝

トリヘキシフェニジルの代謝

副作用

重大な副作用として以下が挙げられています。

医薬品再評価資料における報告では、対象症例数392例中80例(20.4%)に副作用発現を認め、主なものは以下でした(図5)。

図5 トリヘキシフェニジルの主な副作用

トリヘキシフェニジルの主な副作用

以下の患者さんでは禁忌となっています。

重要な基本的注意

重要な基本的注意として以下が挙げられています。

合併症・既往歴等ある場合の注意点

合併症・既往歴等ある場合に以下の注意が挙げられています。

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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