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プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)
の特徴・作用・副作用について

公開日 2023.8.28

作用・特徴

プロメタジン(医薬品名:ヒベルナ・ピレチア)は抗ヒスタミン作用により、アレルギー症状を改善する作用があります。

また、抗コリン作用を有しており、向精神薬による薬剤性パーキンソニズムの治療にも用いられます。

日本では、1956年から田辺三菱製薬からヒベルナの商品名で、塩野義製薬からピレチアの商品名で発売されました。

ピレチアは2013年に販売が高田製薬に移行しています。

アレルギーの治療としては、プロメタジンは血中から脳への移行が多い、第一世代抗ヒスタミン薬に属し、眠気が生じるため、現在は通常使用されません。

第一世代抗ヒスタミン薬の中でも、抗ヒスタミン作用による治療が望まれる場合(アレルギー治療、乗り物酔い止め、やめを得ない場合の一時的な睡眠剤)は、抗ヒスタミン作用はあるものの、抗コリン作用が低い薬剤が理想とされています1)、(図1)。

図1 第一世代抗ヒスタミン薬のムスカリンM・ヒスタミンH1受容体阻害の強さの比較

第一世代抗ヒスタミン薬のムスカリンM・ヒスタミンH1受容体阻害の強さの比較

そのため、医薬品、市販薬では以下が主に使用されます。

プロメタジンも市販薬の一部に使用されており、医薬品・市販薬で総合感冒薬として販売されている、PL顆粒の成分に含まれています。

開発経緯

プロメタジンはフランスのローヌ・プーラン社(現サノフィ・アベンティス社)で抗ヒスタミン薬の研究の中で発見され、1945年にフェノチアジン系抗ヒスタミン薬として、Charpentierにより合成されました。

プロメタジンを起点として、1950年にフェノチアジン系精神安定剤のクロルプロマジン(医薬品名:コントミン)が同じ、ローヌ・プーラン社により開発され、その後のフェノチアジン系抗精神病薬の開発につながります2)、(図2)。

図2 プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)とクロルプロマジン(コントミン)の化学構造式

プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)とクロルプロマジン(コントミン)の化学構造式

剤型

ヒベルナは5mg錠、25mg錠、散剤10%、注射液25mgがあります。

ピレチアは5mg錠、25mg錠、散剤10%があります(図3、4)。

図3 プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)の剤型(錠剤)

プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)の剤型(錠剤)

図4 ヒベルナ注射液25mgのアンプル剤型

ヒベルナ注射液25mgのアンプル剤型

効能・効果

保険承認における効能・効果は以下となっています。

効能・効果に関連する使用上の注意の注意として、抗パーキンソン剤はフェノチアジン系化合物、ブチロフェノン系化合物等による口周部等の不随意運動(遅発性ジスキネジア)を通常軽減しないとあります。

場合によっては、このような症状を増悪、顕性化させることがあることが挙げられています。

用法・用量

通常成人では、1回5~25mgを1日1~3回内服します。

振せん麻痺、パーキンソニズムには1日25~200mgを適宜分けて内服します。

なお、年齢、症状により適宜増減します。

薬物動態

プロメタジン12.5mgを内服した際の血中濃度は約3時間で最高濃度に達し、2相性に半減し、一相目は約1.4時間、二相目は12.3時間で半減します3)、(図5)。

図5 プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)12.5mgを内服した際の血中濃度の推移

プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)12.5mgを内服した際の血中濃度の推移

消化管から80%吸収されますが、初回通過効果が大きく、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)は約25%と低いことが報告されています3)。

プロメタジンは肝臓で、プロメタジンスルホキシド(PMZSO)、デスモノメチルプロメタジン(DMPMZ)、デスモノメチルプロメタジンスルホキシド(DMPMZSO)に代謝されます4)、(図6)。

図6 プロメタジンの肝臓での代謝

プロメタジンの肝臓での代謝

副作用

安全性評価対象例数11,201例中1,354例(12.09%)に副作用発現を認め、主なものは以下でした(図7)。

図7 プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)の主な副作用

プロメタジン(ヒベルナ・ピレチア)の主な副作用

参考

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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