高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

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アルツハイマー病の新規治療薬
「レカネマブ」について

公開日 2023.1.10

2023年1月6日米国でアルツハイマー病の新規治療薬「レカネマブ」が承認されました。

現在日本では以下のアルツハイマー病の治療薬があります。

これらは、アルツハイマー病の病態そのものを改善する効果はなく、「症候改善薬」と呼ばれています。

一方、レカネマブは病態への治療効果を有し、「疾患修飾薬」と呼ばれており、従来の治療薬よりも効果の優れた、認知機能低下の抑制効果が得られます(図1)。

図1 従来の治療薬とレカネマブの効果の違い

アルツハイマー病の原因の一つに脳内に蓄積するアミロイドβという物質(ペプチド)が関与すると想定されています1)、(図2、3)。

図2 アミロイドβペプチドの3つの構造

図3 健常者の脳・神経とアルツハイマー病の脳・神経の比較

レカネマブはアミロイドβが凝集した線維の前の状態(プロトフィブリル)に結合し、除去することで、認知症の進行を抑制します1)、2)、(図4、5)。

図4 レカネマブのアミロイドβプロトフィブリルへの結合作用

図5 レカネマブのアルツハイマー病進行抑制効果

アルツハイマー病のPET検査ではアミロイドβの蓄積に伴い、色の濃度の上昇が認められます3)、(図6)。

図6 アルツハイマー病のPET画像

レカネマブではPET画像上でも、アミロイドβの蓄積の除去効果がみられたことが報告されています2)、(図7)。

図7 レカネマブ投与後のPET画像におけるアミロイドβ蓄積量の変化

レカネマブに先行して米国では、抗アミロイドβ抗体薬のアデュカヌマブ(商品名:Aduhelm)が、2021年6月に条件つきで承認をすでに受けています。

同年同月に、同じく抗アミロイドβ抗体薬のレカネマブは、FDAにより、ブレイクスルーセラピーの指定を受けていました。

日本でもレカネマブの承認に期待がもたれています。

文献

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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