公開日 2025.9.16
効果・特徴
ドンペリドン(ナウゼリン)は消化管の運動を促進し、吐き気を抑える効果があります。
胃腸のドパミンD2受容体を遮断することで、吐き気止め作用を発揮します。
脳への移行は少ない特徴があります1)。
子どもから大人まで使用できます。
即効性があり、内服して10~15分で十分な効果が得られます。
ポール・ヤンセン博士とそのチームにより、ハロペリドール(セレネース)が制吐作用を有していたことから、ブチロフェノン系抗精神病薬から開発されました2)。
同じ時期に抗精神病薬のピモジド(オーラップ)も開発されていることから、ドンペリドンとピモジドは似た構造を有します(図1)。
図1 ドンペリドンとピモジドの構造式
精神科・心療内科では、SSRIやSNRIなどの、内服開始時に嘔気が生じる薬剤に、一時頓用や併用で使用されることがあります。
胃潰瘍などを改善する効果はないため、胃炎・胃潰瘍等による胃痛では、制酸剤や胃粘膜保護剤を使用することが望ましいです。
ドンペリドンは市販薬としては販売されていません。
効能・効果
効能・効果は以下となっています。
ナウゼリン錠5・10〔普通錠〕、ナウゼリンOD錠5・10
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)
成人
- 慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
- 抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時
小児
- 周期性嘔吐症、上気道感染症
- 抗悪性腫瘍剤投与時
ナウゼリンドライシロップ1%
下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、腹痛)
小児
- 周期性嘔吐症、乳幼児下痢症、上気道感染症
- 抗悪性腫瘍剤投与時
用法・用量
用法・用量は以下となっています
ナウゼリン錠5・10〔普通錠〕、ナウゼリンOD錠5・10
成人
通常、1回10mgを1日3回食前に内服する。ただし、レボドパ製剤投与時には1回5~10mgを1日3回食前に内服する。なお、年令、症状により適宜増減するとなっています。小児:通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。なお、年令、体重、症状により適宜増減する。ただし、1日内服量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすることとなっています。
ナウゼリンドライシロップ1%
小児
通常、1日1.0~2.0mg/kgを用時水で懸濁し、1日3回食前に分けて内服する。なお、年令、体重、症状により適宜増減する。ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすることとなっています。
剤型
剤型は5mg錠、10mg錠、OD錠5、OD錠10、ドライシロップ1%があります(図2)。
図2 ナウゼリン錠の剤型
他に坐薬10mg、30mg、60mgがあります(図3)。
図3 ナウゼリン座薬の剤型
薬物動態
ドンペリドン10mgを内服した際の血中濃度は、約30分後に最高濃度に達し、約0.9時間後に半減します(図4)。
図4 ドンペリドン(ナウゼリン)10mgを内服した際の血中濃度の推移
ドンペリドンを追加して内服する際、何時間あけるかは、上記のように、半減期(ここでは正確にはT1/2(α))は約1時間であり、2時間あければ、問題ないといえます。
食後に10mgを内服すると、血中濃度は約1.66時間後に最高濃度に達し、約8.7時間後に半減します。
血中濃度も低下することがわかっています3)。
図5 空腹時・食後におけるドンペリドン内服時の血中濃度の推移の比較
要約すると、空腹時内服と比較し、食後内服は、最高血中濃度に達する時間が延長し、薬剤の血中濃度が低下します。
ドンペリドン30mg及び60mgを直腸内投与した際の血中濃度は、約2時間後に最高濃度に達し、約7時間後に半減します(図5)。
図6 ドンペリドン(ナウゼリン)座薬30mg及び60mgを直腸内投与した際に血中濃度の推移
主な尿中代謝産物は2,3-dihydro-2-oxo-1Hbenzimidazole-1-propanoic acid とその抱合体、糞中代謝産物は、Hydroxy domperidoneと未変化体とされています(図6)。
図7 ドンペリドン(ナウゼリン)の代謝経路
肝臓では代謝酵素CYP3A4が主に関与するとされています。
禁忌
以下の患者さんは禁忌となっています。
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 消化管出血、機械的イレウス、消化管穿孔の患者[症状が悪化するおそれがある。]
- プロラクチン分泌性の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)の患者[抗ドパミン作用によりプロラクチン分泌を促す。]
飲み合わせの注意
フェノチアジン系精神神経用剤
プロクロルペラジン・クロルプロマジン・チエチルペラジン等
ブチロフェノン系製剤
ハロペリドール等
ラウオルフィアアルカロイド製剤
レセルピン等 (内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現しやすくなる。)
ジギタリス製剤
ジゴキシン等 (ジギタリス製剤飽和時の指標となる悪心、嘔吐、食欲不振症状を不顕化することがある。ジギタリス製剤の血中濃度のモニターを行う。)
抗コリン剤
ブチルスコポラミン臭化物・チキジウム臭化物・チメピジウム臭化物水和物等 (本剤の胃排出作用が減弱することがある。症状により一方を減量、中止する。又は必要に応じて間隔をあけて投与する。)
制酸剤H2受容体拮抗剤
シメチジンラニチジン等
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール等 (本剤の効果が減弱するおそれがあるので、両剤の投与時間を考慮する。)
CYP3A4阻害剤
イトラコナゾール・エリスロマイシン等 (本剤の血中濃度が上昇する。また、エリスロマイシンとの併用においては、QT延長が報告されている。)
ロキソニンやイブ、カロナールとの飲み合わせは問題ありません。
副作用
承認時までの調査で1%以上の副作用はありませんでした。
頻度不明及び0.1未満ながら以下の重大な副作用が挙げられています。
- ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)ショック、アナフィラキシー(発疹、発赤、呼吸困難、顔面浮腫、口唇浮腫等)を起こすことがある。
- 錐体外路症状(0.1%未満)後屈頸、眼球側方発作、上肢の伸展、振戦、筋硬直等の錐体外路症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。なお、これらの症状が強い場合には、抗パーキンソン剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
- 意識障害、痙攣(いずれも頻度不明)
- 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)AST、ALT、c-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
文献
- 1) Barone JA.: Domperidone: a peripherally acting dopamine2-receptor antagonist. Ann Pharmacother, 33: 429-40, 1999.
- 2) Awouters FH, Lewi PJ.: Forty years of antipsychotic Drug research--from haloperidol to paliperidone--with Dr. Paul Janssen. Arzneimittelforschung, 57: 625-32, 2007.
- 3) Wang C, et al.: Development of a sensitive UPLC-MS/MS assay for domperidone and pharmacokinetics of domperidone tablet formulations in fasting and fed Chinese healthy subjects. Int J Clin Pharmacol Ther, 58: 177-182, 2020.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症