高津心音メンタルクリニック|心療内科・精神科 川崎市 溝の口

高津心音メンタルクリニック 心療内科・精神科 川崎市 溝の口

ASDに伴う症状に使用する薬
有効性の評価

公開日 2021.12.13

過敏性に対する治療薬

ASDでは過敏性を有し、過敏性にアリピプラゾール(エビリファイ)とリスペリドン(リスパダール)が有効であることが報告されています 1)、 2)、(図1)。

またアリピプラゾール(エビリファイ)は多動、常同的な行動、不適切な発言などの行動のかたよりにも有効であることが報告されています3)。

図1 アリピプラゾールのASDの過敏性に対する効果

アリピプラゾールのASDの過敏性に対する効果

ASDとADHDは併存することがしばしばありますが、アリピプラゾール(エビリファイ)とリスペリドン(リスパダール)のいずれも、ASDに伴うADHDの症状を改善することが報告されています 4)。

2019年のColemanらの米国における26種の向精神薬及び抗てんかん薬のASDに対する有効性の評価の研究では、抗精神病薬ではアリピプラゾール(エビリファイ)が有効性と副作用のバランスにおいて優れていました 5)、(図2)。

図2 ASDに対する抗精神病薬の有効性の評価

ASDに対する抗精神病薬の有効性の評価

てんかんの治療薬

ASDではてんかんの併存率が高く 6)、抗てんかん薬を使用することが多いですが、抗てんかん薬ではラモトリギン(ラミクタール)が有効性と副作用のバランスにおいて優れていました(図3)。

図3 ASDのてんかんに対する抗てんかん薬の有効性の評価

ASDのてんかんに対する抗てんかん薬の有効性の評価

多動性、衝動性に対する非中枢神経刺激剤

ADHDの併存やADHD様症状がある場合にはADHD治療薬が使用される場合がありますが、非中枢神経刺激剤のADHD治療薬では、クロニジン(カタプレス)、グアンファシン(インチュニブ)が有効性と副作用のバランスにおいて優れていました(図4)。

図4 ASDに対するADHD治療薬(非中枢神経刺激剤)の有効性の評価

ASDに対するADHD治療薬(非中枢神経刺激剤)の有効性の評価

うつ、不安、反復行動に対する抗うつ薬

うつ症状や不安、反復行動、強迫症が併存した場合などに抗うつ薬のSSRIが使用されることがあります。ASDではてんかんの併存も多いですが、強迫症(強迫性障害)の併存も高いことが知られています 7)。

抗うつ薬ではセルトラリン(ジェイゾロフト)が有効性と副作用のバランスにおいて優れていました(図5)。

図5 ASDに対する抗うつ薬(SSRI)の有効性の評価

ASDに対する抗うつ薬(SSRI)の有効性の評価

従来、ASDに対し抗うつ薬ではセルトラリンの有効性が高いとされ使用されてきましたが、近年の解析では小児のASDに対しては否定的な結果もでており 8)、実際の個々の状態に応じ、慎重な使用、使い分けが必要と考えられます。

文献

執筆者:
高津心音メンタルクリニック
院長 宮本浩司

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