公開日 2025.12.1
うつ病では、症状の特徴からサブタイプに分類することがあります。
アメリカ精神医学会の診断基準であるDSM-5ではうつ病のサブタイプに以下の分類を提示しています。
- 不安性の苦痛を伴う
- 混合性の特徴を伴う
- メランコリアの特徴を伴う
- 非定型性の特徴を伴う
- 気分に一致する精神病性の特徴を伴う
- 気分に一致しない精神病性の特徴を伴う
- 緊張病を伴う
- 周産期発症
- 季節型
非定型の特徴を伴ううつ病は「非定型うつ病」と呼ばれています。
非定型うつ病は、以下の特徴があります。
- 気分反応性(楽しいことには、気分が明るくなる)
- 体重増加または食欲増加
- 鉛様麻痺(手足が鉛のように、重い感覚)
- 対人過敏性(特に他人から拒絶されることに敏感。うつ状態以外の期間にもみられます)
メランコリアの特徴を伴ううつ病は「メラコリー型うつ病」と呼ばれています。
メラコリーうつ病には、以下の特徴があります。
- 喜びの喪失
- 快適である刺激への反応の消失
- 抑うつ気分、絶望、空虚感
- 朝に悪化する抑うつ気分
- 早朝覚醒
- 著しい焦燥感または制止(精神運動焦燥または制止)
- 食欲不振または体重減少
- 過度な罪責間
2025年8月、Preisigらは、臨床現場における非定型うつ病とメラコリー型うつ病の分類における根拠についてのレビューを報告しました1)。
報告では以下のような結果でした。
家族内発症
家族間での発症では、非定型うつ病に関連がみられる結果でした。
一方、メラコリー型うつ病には、一貫性がみられませんでした。
食事の質
非定型うつ病では、食事の質が低下している結果でした。
メラコリー型うつ病では、非うつ病群との比較根拠が不十分でした。
肥満スコア
非定型うつ病では、BMI等の肥満スコアの上昇と関連している結果でした。
一方、メラコリー型うつ病では、相関はみられませんでした。
非定型うつ病とメラコリー型うつ病の比較では、非定型うつ病は、メラコリー型うつ病の約2.55倍BMIが高くなる結果でした。
炎症マーカー
非定型うつ病では、炎症のCRPの上昇と関連している結果でした。
一方、メラコリー型うつ病では、相関はみられませんでした。
デキサメタゾン抑制試験
通常うつ病では、発症要因の1つに視床下部-下垂体-副腎(Hypothalamus-pituitary-adrenal : HPA) 軸が挙げられています。
ストレスがかかると副腎から、コルチゾールというホルモンが分泌されますが、過剰かつ長期になると、HPA軸に異常をきたし、うつ病の発症要因になるとされています。
うつ病患者さんでは、デキサメタゾン抑制試験とうのを行うと、通常ではコルチゾールの分泌が抑制されますが、抑制されないことが分かっています。
このデキサメタゾン抑制試験は、非定型うつ病では、一貫性がみられませんでした。
一方、メラコリー型うつ病では、抑制されない結果でした。
以下図1にDSM-5に記載されている、非定型うつ病とメラコリー型うつ病の特徴と、今回の論文で示された両サブタイプの鑑別点をまとめました。
図1 非定型うつ病とメラコリー型うつ病の特徴と鑑別

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文献
- 1)Preisig M, et al.: The rationale for subtyping depression into atypical and melancholic in research and clinical settings: A narrative review. J Affect Disord, 391:120045, 2025.

- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる

- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症









