公開日 2025.06.16
児童思春期のADHDでは、うつ病や不安の併存が高いことや、反抗挑戦性障害を伴うことが知れています1)、2)。
男児では、外在化障害とよばれ、行動・障害特性が外側に向かう傾向が多いとされています。
女児では、内在化障害とよばれ、行動・障害特性が内部に向かう傾向があることとされています3)。
つまり、男児では、暴れてしまう等などの行為がみられることがあり、女児では不安が強いなどの性差があるとされています。
これまで、児童思春期のADHDに併存する精神疾患ついて一貫した報告はありませんでした。
2025年6月、Njardvikらにより、児童思春期のADHDに併存する精神疾患についての解析が報告されました4)。
報告では、以下の順に併存が高い結果でした(図1)。
- 反抗挑戦性障害
- 不安障害
- 限局性恐怖症
- 夜尿症
- 素行障害
- うつ病
- 自閉スペクトラム症
- チック症
- 強迫性障害
- 双極性障害
- 物質使用障害
図1 児童思春期のADHDに併存する精神疾患・障がい
反抗挑戦性障害は、怒りっぽいこと、挑発的であること、執念深い(恨みやすい)ことが障害の特徴です。
典型的には家庭内で親に反抗し、学校で教師の指示に従わず、反抗的な態度をとるなどがあります。
素行障害は、攻撃性、破壊、虚偽性、窃盗、重大な規則違反等がみられることが障害の特徴です。
今回の解析では、ADHD不注意優勢型では、反抗挑戦性障害は相関が低く(z-value; -2.98)、不注意/多動性混合型で相関が高い結果(z-value; 3.41)でした。
また、行為障害は男児が女児の2倍、強迫性障害は女児が男児の2倍の有病率の結果でした。
ADHDと反抗挑戦性障害の併存が悪化せず、改善していくことが、当事者の成人期に向けての社会適応において重要とされています5)。
不注意や多動性の特性が軽減し社会適応化できている成人においても、反抗挑戦性障害が残存している事例が少なくありません。
新入社員が入社後に、本人は悪気はないけれども、つい上長に口答えする、会社の規律に従えないなどです。
反抗挑戦性障害の障害特性には、自分の責任を他人のせいにするという特徴的な障害もあり、この特性も反抗挑戦性障害が残存している当事者にみられることがあります。
文献
- 1) Meinzer MC, et al.: The co-occurrence of attention-deficit/hyperactivity disorder and unipolar depression in children and adolescents: a meta-analytic review. Clin Psychol Rev, 34: 595-607, 2014.
- 2) Elia J, et al.: ADHD characteristics: I. Concurrent co-morbidity patterns in children & adolescents. Child Adolesc Psychiatry Ment Health, 2: 15, 2008.
- 3) Zhang Y, et al.; Effects of ADHD and ADHD medications on depression and anxiety in children and adolescents: A systematic review and meta-analysis. J Psychiatr Res, 181:623-639, 2025.
- 4) Njardvik U, et al.: Psychiatric comorbidity in children and adolescents with ADHD: A systematic review and meta-analysis. Clin Psychol Rev, 118:102571, 2025.
- 5) ADHDの診断・治療ガイドライン. じほう. 2019.
- 頭が働かない
- 寝つきが悪い
- やる気が起きない
- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
- 人の視線が気になる
- 職場に行くと体調が悪くなる
- 電車やバスに乗ると息苦しくなる
- うつ病
- 強迫性障害
- 頭痛
- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症