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片頭痛の新規治療薬
ラスミジタン「レイボー」について

はじめに

片頭痛は有病率が高く、日常生活、社会生活に支障をきたす疾患です 1)、2)。

精神疾患との併存率が高く、中でもうつ病、双極性障害、パニック障害などの不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は特に併存率が高いことがわかっています 3)、4)、5)。

精神状態の悪化に伴い片頭痛も悪化し、また片頭痛の悪化に伴い精神疾患も悪化するため相互を考慮した介入が必要とされています 6)。

現在、片頭痛の痛みの治療薬(片頭痛急性期治療薬)は、主に(ロキソプロフェン)ロキソニンなどを主としたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と、スマトリプタン(イミグラン)やエレトリプタン(レルパックス)などのトリプタン系製剤とよばれる薬剤が主となっています。

米国では2019年にジタン系製剤と総称されるラスミジタン(レイボー)が承認され、同年ゲパント系製剤と総称されるユブロゲパント(日本未承認)が承認、2020年にリメゲパント(日本未承認)が承認され使用されています。

2022年1月に日本でもラスミジタン(レイボー)承認され、6月8日発売となりました。

作用・特徴

ラスミジタン(レイボー)はセロトニン5HT1F受容体に作用し、三叉神経から痛みのもととなる神経伝達物質の放出を抑制するともに、脳内で痛みの伝達を抑えることにより片頭痛の痛み改善します7)、(図1)。

図1 レイボーの作用機序

レイボーの作用機序

セロトニン(5-HT)の受容体には5-HT1から5HT7まであり、その中で5HT1はさらにサブタイプとして5HT1A、5HT1B、5HT1D、5HT1E、5HT1Fがあります。

この中で5HT1B、5HT1D、5HT1Fが片頭痛の治療に関わると想定され薬の開発が進みました 8)、9)、10)。1990年代に5HT1B、5HT1Dに作用するトリプタン系と呼ばれる片頭痛の薬が登場し、日本では2000年から使用されるようになり、多くの片頭痛で悩む人にとって画期的な治療薬となりました。

トリプタン系製剤には以下のものがあります。

  • スマトリプタン(イミグラン)
  • ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
  • エレトリプタン(レルパックス)
  • リザトリプタン(マクサルト)
  • ナラトリプタン(アマージ)

トリプタン系製剤は実際には5HT1B、5HT1Dに加え5HT1Fにも作用しますが、ラスミジタン(レイボー)は5HT1B、5HT1D にほとんど作用せず、5HT1F受容体をターゲットに作用する新しいタイプの薬でジタン系製剤と称されています(図2)。

図2 ラスミジタン(レイボー)とトリプタンのセロトニン5-HT1B 1F受容体への結合能

ラスミジタン(レイボー)とトリプタンのセロトニン5-HT1B 1F受容体への結合能

現在、5-HT1Dは治療において大きく貢献しておらず、主に5-HT1B、5HT1Fが主に改善に関わっているということがわかっています。

トリプタンとレイボーの違いをより端的にいうと、トリプタンは5-HT1B、5HT1Fに作用する薬で、レイボーは5HT1Fにのみ作用する薬となります。

トリプタン製剤には片頭痛の痛みが出始めてから、すみやかに(約1時間以内)内服する必要があり、時間がたってからだと効き目が悪かったり、効果が得られないことがあります。

また、心臓の血管の病気がある場合、脳の血管の病気がある場合やそのリスクがある場合は、血管収縮を起こすことから、使用できないことがあります。

レイボーは1時間が経過した後に内服しても効果が得られます。

また、血管収縮作用を起こす5HT1B受容体へはほとんど作用しません。

そのため、心臓の血管、脳の血管の収縮を引き起こさないため、これらの疾患や疾患リスクで使用できなかった片頭痛の患者さんも使用することができます(図3)。

図3 ヒト冠動脈、内胸動脈、中硬膜動脈に対するラスミジタンの作用

ヒト冠動脈、内胸動脈、中硬膜動脈に対するラスミジタンの作用

用法・用量

通常、成人にはラスミジタンとして1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。

ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgを投与することができる。

頭痛の消失後に再発した場合は、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与できるとなっています。

薬物動態

レイボー100㎎を1錠内服すると血液中の濃度は約2時間半で最高濃度に達し、約3時間半後に半分に下がります(図4)。

図4 単回経口投与時の血漿中ラスミジタン濃度推移(日本人健康成人)

単回経口投与時の血漿中ラスミジタン濃度推移(日本人健康成人)

食事による影響はありません。

剤形

剤形は50㎎錠と100㎎錠があります(図5)。

図5 ラスミジタン(レイボー)剤形

ラスミジタン(レイボー)剤形

副作用

臨床試験における副作用発現頻度は4625例中1884例(40.74%)に認められました。

主な副作用は浮動性めまい(18.66%)、傾眠(6.85%)、錯感覚(5.97%)、疲労(4.35)、悪心(4.32%)でした(図6)。

図6 ラスミジタン(レイボー)の主な副作用

ラスミジタン(レイボー)の主な副作用

重大な副作用に頻度(0.1%未満)はまれながらセロトニン症候群が挙げられています。

セロトニン症候群はセロトニンが脳や体に強く作用してしまうことにより、ミオクローヌス、発熱、発汗、震え、下痢などの症状が生じる病態です。

精神科領域ではセロトニンに作用する抗うつ薬を高容量で使用した際にまれに生じることがあります。

そのため、以前からSSRI、SNRIとトリプタン系製剤の併用ではセロトニン症候群のリスクに注意が必要とされ、ラスミジタン(レイボー)でも同様に併用注意とされています。

しかし、トリプタン系製剤とSSRI、SNRIの処方とセロトニン症候群の関係を調査した研究では相関性は乏しいことが報告されています 11)、(図7)。

うつ病やパニック障害でSSRIを服用している患者さんが過度に心配する必要はないと思われます。

図7 トリプタン系製剤+SSRI(またはSNRI)とセロトニン症候群の関係(米国の研究)

トリプタン系製剤+SSRI(またはSNRI)とセロトニン症候群の関係(米国の研究)

他剤との比較

イブプロフェン(市販のイブの主成分です)やジクロフェナク(ボルタレン)などのNSAIDsとトリプタン系製剤、ジタン系製剤のレイボー、現在はまだ日本未承認のゲパント系製剤の片頭痛急性期治療の有効性評価の解析結果では、スマトリプタンとナプロキセンの合剤(イミグランとナイキサンの合剤でアメリカで承認されている薬剤)とトリプタン系製剤の有効性が高い結果でした 12)(図8)。

図8 片頭痛急性期治療薬の各薬剤の効果

片頭痛急性期治療薬の各薬剤の効果

片頭痛急性期におけるトリプタン系製剤とラスミジタン(レイボー)、ゲパント系製剤(ユブロゲパント、リメゲパント)を比較した研究では、効果はトリプタン系製剤が優れていました。

忍容性はユブロゲパントが優れていました。

効果と忍容性を考慮するとエレトリプタン(レルパックス)が優れていました。

レイボーはトリプタン系製剤より優れている結果は示されませんでした 13)(図9)。

図9 片頭痛急性期治療薬の効果と忍容性の比較

片頭痛急性期治療薬の効果と忍容性の比較

これらの結果から後発医薬品(ジェネリック)のエレトリプタンやスマトリプタンで十分効果が得られており、健康状態に問題のない片頭痛の患者さんでは、あらたに切り替える必要はないと思います。

一方で心血管の病気があり、今までトリプタン系製剤が使用できかった人や、そのリスクがあり慎重投与となっていた場合は、ラスミジタン(レイボー)が有用であると思われます。

ラスミジタン(レイボー)は脳血管、心血管への重大な副作用のリスクをトリプタンより軽減しものの、副作用全体がトリプタンより少ないわけではないという点には注意をはらう必要がありそうです。

おわりに

片頭痛では急性期治療と予防治療の2本柱が要となり、予防療法では2021年に抗CGRP抗体の注射剤であるガルカネズマブ(エムガルディ)、エレヌマブ(アイモビーク)、フレマネズマブ(アジョビ)が発売され大きな変革の年となりました。

加えて、トリプタン系製剤にジタン系製剤のラスミジタン(レイボー)が加わり急性期治療薬の選択肢が増えたことにより、さらに片頭痛治療は前進しました。

精神疾患と片頭痛の併存は多く、各患者さんに合った片頭痛治療薬による介入で、精神疾患の改善・安定にも寄与することを願います。

文献

  • 1) Sakai F, Igarashi H. : Prevalence of migraine in Japan: a nationwide survey. Cephalalgia, 17 : 15-22, 1997.
  • 2) Burch RC, et al. : Migraine: Epidemiology, Burden, and Comorbidity. Neurol Clin, 37 : 631-649, 2019.
  • 3) Radat F. : What is the link between migraine and psychiatric disorders? From epidemiology to therapeutics. Rev Neurol (Paris), 177 : 821-826, 2021.
  • 4) Amiri S, et al. : Migraine headache and depression in adults: a systematic Review and Meta-analysis. Neuropsychiatr, 33 : 131-140, 2019.
  • 5) Fornaro M, Stubbs B. : A meta-analysis investigating the prevalence and moderators of migraines among people with bipolar disorder. J Affect Disord, 178 : 88-97, 2015.
  • 6) Dresler T, et al. : Understanding the nature of psychiatric comorbidity in migraine: a systematic review focused on interactions and treatment implications. J Headache Pain, 20 : 51, 2019.
  • 7) Clemow DB, et al. : Lasmiditan mechanism of action - review of a selective 5-HT1F agonist. J Headache Pain, 21 : 71, 2020.
  • 8) Nilsson T, et al. : Contractile 5-HT1B receptors in human cerebral arteries: pharmacological characterization and localization with immunocytochemistry. Br J Pharmacol, 128 : 1133-40, 1999.
  • 9) Villalón CM, VanDenBrink AM. : The Role of 5-Hydroxytryptamine in the Pathophysiology of Migraine and its Relevance to the Design of Novel Treatments. Mini Rev Med Chem, 17 : 928-938, 2017.
  • 10) Ramadan NM, et al. : 5-HT1F receptor agonists in acute migraine treatment: a hypothesis. Cephalalgia, 23 : 776-85, 2003.
  • 11) Orlova Y, Association of Coprescription of Triptan Antimigraine Drugs and Selective Serotonin Reuptake Inhibitor or Selective Norepinephrine Reuptake Inhibitor Antidepressants With Serotonin Syndrome. JAMA Neurol, 75 : 566-572, 2018.
  • 12) VanderPluym JH, et al. : Acute Treatments for Episodic Migraine in Adults: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA, 325 : 2357-2369, 2021.
  • 13) Yang CP, et al. : Comparison of New Pharmacologic Agents With Triptans for Treatment of Migraine: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Netw Open, 4 : e2128544, 2021.
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