公開日 2026.2.24
アイデンティティとは、「自分とは何者か?」いう問いに対して持つ、その人の答え、概念と言えます。
現在のアイデンティティという用語は、エリク・H・エリクソンによって確立されました。
エリク・H・エリクソン(以下エリクソン)は、アイデンティティについて、「自分自身の中で永続する同一性(自己同一性)」という意味と、「ある種の本質的な特性を他者と永続的に共有する」という両方の意味を含んでいると述べています。
エリクソンはアイデンティティとライフスタイルについて以下のように記しています。
①乳児期
乳児期では、一番身近な存在である母や父の絶対の信頼感が得られる必要があるとされています。
それがないと、他者への不信が生じ、成長してからの、対人拒絶や引きこもり等が生じる可能性があります。
②幼児期
この時期に排便を自分の力でできるようになることと、関連しているとされています。
自尊心を失うことのない自制心から自律が生まれます。
一方で、排便がうまくコントロールできない場合、誰かにみられてしまう等の恥につながるとされています。
③児童期
この時期に屈することのない自主性(イニシアティブ)を獲得する必要があるとされています。
自主性(イニシアティブ)を獲得に失敗すると、規範を超えた行動が生じることがあります。
この時、罪の意識が生じるとされています。
④学童期
この時期に、勉強をして、自分は役にたっているという感覚を「勤勉の感覚」と呼んでいます。
しかし、それまでの葛藤などの解決が不十分だと、劣等感が増大する危険があるとされています。
⑤青年期
この時期に、いよいよ「自分」が「自分」を作っていく心の段階になります。
このプロセスで「自分が自分であるという感覚」、「社会(共同体)に所属し、役割を果たすこと」、「信念を有すること」を得ていく自分を獲得していきます。
このプロセスから逃げ出すと、「自分」についてわからなくなる、アイデンティティ拡散が生じます。
エリクソンは、職業的アイデンティティを決められないことが、何よりも若い人々を混乱させると記しています。
⑥成人期
成人期に本当に愛する人との、親密さが可能になるとされています。
親密と対をなす概念として孤立が挙げられていますが、これは、本人が孤立になることでなく、その人にとって危険と感じられる力や人物を孤立させることです。
⑦壮年期
この時期で重要なことは「ジェネラティヴィティ」であるとエリクソンは述べています。
「ジェネラティヴィティ」は、主として次の世代を確立し、導くことへの関心です。
「ジェネラティヴィティ」の豊かさを獲得できす失敗すると、停滞の感覚が生じるとされています。
⑧老年期
この時期に、「自らの1回限りのライフサイクルを受容することであり、また、その人生の中で重要な存在であった人々を、あるべきものとして、また必然的に、かけがえのない存在として受容すること」で、①~⑦の段階が結実すると、エリクソンは述べています。
また、上記の心の段階を「インテグリティ」と呼んでいます。
自我のインテグリティが欠如したりすると、絶望や死の恐怖が現れることがあるとされています。
どの段階におけるアイデンティティのゆらぎや危機は、うつ病を含めた精神疾患の発症リスクになります。
「自分は何者であるか?」について、あらためて考えてみるのもよいかもしれません。
文献
- 1) エリク・H・エリクソン.: アイデンティティとライフサイクル. 誠信書房. 2011.
- 2) エリク・H・エリクソン.: アイデンティティ. 新曜社. 2017.
- 3) 鑪 幹八郎.: アイデンティティの心理学. 講談社現代新書. 1990.

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