公開日 2025.12.08
女性のADHDとホルモン
女性のADHD症状は、ホルモンバランスの影響を受けるとされています。
2025年11月、Osianlisらは、女性の人生上におけるホルモン変化と月経周期におけるADHD症状との関連についての調査を発表しました。
調査では、人生上のホルモン変化との関係において、特に、更年期、産後、思春期にADHD症状が悪化するとの報告でした(図1)。
図1 女性のADHD症状が悪化するホルモンステージ

更年期
更年期のADHD症状悪化はエストロゲンの減少と関連しているとされています。
ADHDは、脳のドパミン伝達異常が要因の1つとして挙げられています。
女性ホルモンのエストロゲンは、ドパミンの合成、維持、分解の抑制を調整するとされています2)。
そのため、エストロゲンの減少はADHD症状を悪化すると考えられています。
産後
産後も同様にエストロゲンの低下が関与しているとされています。
思春期
思春期ではホルモンの変動が大きくなる時期で、これらの脳への影響がADHD症状の悪化に関与しているとされています。
また、思春期という繊細な時期が、症状に関与している可能性が示唆されています。
月経周期
月経周期との関連では、ADHD治療薬の内服している、していないに関わらず、黄体期に最もADHD症状の悪化が認められました(図2)。
図2 女性の月経周期におけるADHD症状の悪化

黄体期はエストロゲンが減少するために、女性のADHD症状が悪化すると考えられます。
黄体期にADHD治療薬を増薬することで、改善が得られたとの報告もあります3)。
女性のADHD当事者では、ホルモンバランスによる症状悪化に注意した、治療と経過観察が必要といえます。
また、ADHDの女性は、PMDDの併存率が高いことも報告されています4)、(図3)。
図3 ADHDと非ADHDにおけるPMDDの併存率

そのため、ADHDの症状悪化のみならず、併存する他のホルモンバランスに影響を受ける疾患にも注意を払う必要があります。
文献
- 1) Osianlis E, et al.: ADHD in females: Survey findings on symptoms across hormonal life stages. J Psychiatr Res, 193:208-215, 2025.
- 2) Kooij JJS, et al.: Research advances and future directions in female ADHD: the lifelong interplay of hormonal fluctuations with mood, cognition, and disease. Front Glob Womens Health, 6:1613628, 2025.
- 3) de Jong M, et al.: Female-specific pharmacotherapy in ADHD: premenstrual adjustment of psychostimulant dosage. Front Psychiatry, 14:1306194, 2023.
- 4) Broughton T, et al.: Increased risk of provisional premenstrual dysphoric disorder (PMDD) among females with attention-deficit hyperactivity disorder (ADHD): cross-sectional survey study. Br J Psychiatry, 226: 410-417, 2025.

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