公開日 2025.6.23
ADHD治療薬は血圧や脈拍へ影響を与えることが知られています。
個々の薬剤の安全性の比較は、現在まで血圧に関してのみの報告であり、脈拍や心拍を含めた十分な解析はなされていませんでした。
2025年5月、Farhatらは、ADHD治療薬の心血管系への安全性の比較の解析を行い、報告しました1)。
今回の解析には以下の薬剤が含まれました。
- アンフェタミン(日本未承認薬)
- アトモキセチン(先発医薬品名:ストラテラ)
- ブプロピオン(日本未承認薬)
- クロニジン(医薬品名:カタプレス)(日本ではADHDに対しては日本未承認)
- グアンファシン(医薬品名:インチュニブ)
- リスデキサンフェタミン(医薬品名:ビバンセ)(原則18歳未満が保険適応)
- メチルフェニデート(医薬品名:コンサータ)
- モダフィニル(医薬品名:モディオダール)(日本ではADHDに対しては日本未承認)
- ビロキサジン(日本未承認薬)
本コラムでは、日本の保険適応であるメチルフェニデート(以下コンサータ)、リスデキサンフェタミン(以下ビバンセ)、アトモキセチン、グアンファシン(以下インチュニブ)について記載致します。
収縮期血圧の安全性の比較では、コンサータ、ビバンセ、アトモキセチンが血圧上昇し、インチュニブは血圧低下する結果でした(図1、2)。
図1 ADHD治療薬の血圧に対する安全性の比較(児童思春期)
図2 ADHD治療薬の血圧に対する安全性の比較(成人)
脈拍の安全性の比較では、アトモキセチン、ビバンセ、コンサータは脈拍が増加、インチュニブは低下する結果でした(図3、4)。
図3 ADHD治療薬の脈拍に対する安全性の比較(児童思春期)
図4 ADHD治療薬の脈拍に対する安全性の比較(成人)
心電図のQTc延長の安全性の比較では、成人で、アトモキセチンがプラセボと比較して延長がみられました。
今回の結果からは、アトモキセチン、コンサータ、ビバンセの血圧上昇、脈拍増加への影響は大きくない結果でした。
また、中枢刺激薬(コンサータ、ビバンセ)の血圧上昇、脈拍増加のリスクは、アトモキセチンと比較し、高くないこともわかりました。
一方で、今回の解析は短期間(12週間)を対象としたもので、長期使用においては、心血管リスクが増加することが報告されています2)。
そのため、長期使用にあたっては、慎重な観察が必要といえます。
また、今回の結果からは、インチュニブの血圧低下を介した安全性への懸念を考慮すると、低血圧のADHD当事者への投与に特に注意が必要と思われました。
文献
- 1) Farhat LC, et al.: Comparative cardiovascular safety of medications for attention-deficit hyperactivity disorder in children, adolescents, and adults: a systematic review and network meta-analysis. Lancet Psychiatry, 12: 355-365, 2025.
- 2) Zhang L, et al.: Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Medications and Long-Term Risk of Cardiovascular Diseases. JAMA Psychiatry, 81: 178-187, 2024.
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- 不安で落ち着かない
- 朝寝坊が多い
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- うつ病
- 強迫性障害
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- 睡眠障害
- 社会不安障害
- PMDD(月経前不快気分障害)
- パニック障害
- 適応障害
- 過敏性腸症候群
- 心身症
- 心的外傷後ストレス障害
- 身体表現性障害
- 発達障害
- ADHD(注意欠如・多動症)
- 気象病・天気痛
- テクノストレス
- バーンアウト症候群
- ペットロス(症候群)
- 更年期障害
- 自律神経失調症