ADHDの薬③メチルフェニデート(コンサータ)について

効果・作用

メチルフェニデート(コンサータ)は、脳内のドパミンとノルアドレナリントランスポーターに結合し、再取り込みを抑制し、シナプス間隙のドパミンとノルアドレナリンを増加させます。

その結果、神経系の機能を高めることにより、ADHDの不注意や多動性を改善させると考えられています(図1)。

図1 メチルフェニデート(コンサータ)の薬理作用

特に脳の前頭前野と線条体という部位においてドパミンを増加させることと1)、2)、(図2)、視床という部位を中心に広くノルアドレナリンを増加させることにより3)、(図3)、数的タスクやワーキングメモリーの機能を高めることが示唆されています4)。

図2 メチルフェニデート(コンサータ)によるドパミンの増加

図3 メチルフェニデート(コンサータ)によるノルアドレナリンの増加

近年の研究では、コンサータは前頭頭頂優位の脳状態を促進し、それが課題遂行の改善に寄与していることが報告されています5)。

コンサータはドパミントランスポーターの50%以上を占有することが臨床効果に必要とされています6)。

50%以上のドパミントランスポーターを占有にするには、約36mg以上が必要と推定されます(図4)。

図4 コンサータのドパミントランスポーター占有率

ただし、効果には差があるため、すべてに当てはまるということではありません。

ADHD治療薬の中で、アトモキセチン(ストラテラ)、インチュニブが非中枢刺激薬とされているのに対し、コンサータは中枢刺激薬に分類されています。

米国では、コンサータ、アンフェタミン(日本未承認)、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)が中枢刺激薬として使用されています(図5)。

図5 ADHD治療薬(中枢刺激薬)

薬の作用の点からは、ノルアドレナリンとドパミンの再取り込みを阻害し作用するという点で、NDRI(ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害剤)ともいえます。

同じNDRIに日本未承認薬である、抗うつ薬のブプロピオンがあります。

ブプロピオンもADHDに効果があることから、使用されています。

コンサータの作用は、ブプロピオンより強いことがわかっています7)、(図6)。

図6 コンサータとブプロピオンのドパミン・ノルアドレナリンの作用の比較

効能・効果

効能・効果は「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」となっています。

用法・用量

18歳未満の患者

通常、18mgを初回用量、18~45mgを維持用量として、1日1回朝経口投与する。

増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。

なお、症状により適宜増減する。

ただし、1日用量は54㎎を超えないこととなっています。

18歳以上の患者

18歳以上では、通常、18歳以上の患者では、18mgを初回用量として、1日1回朝経口投与する。

増量が必要な場合は、1週間以上の間隔をあけて1日用量として9mg又は18mgの増量を行う。

なお、症状により適宜増減する。

ただし、1日用量は72mgを超えないこととなっています。

剤型

剤型では18㎎錠、27錠、36㎎錠があります(図7)。

図7 メチルフェニデート(コンサータ)の剤形

薬物動態

コンサータは浸透圧を利用した放出制御システム(OROS)によるフィルムコート錠(徐放錠)になっています。

内服後、一旦すみやかに血液中のメチルフェニデート濃度が上昇し、その後内部充填された薬物が浸透圧変化で徐々に放出されることにより緩やかな上昇します。

即効性と約12時間の効果の持続性を有します(図8)。

図8 コンサータを内服した際の血中濃度の推移

禁忌

以下の患者さんは禁忌となっています。

  • 1)過度の不安、緊張、興奮性のある患者[中枢神経刺激作用により症状を悪化させることがある。]
  • 2)緑内障のある患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
  • 3)甲状腺機能亢進のある患者[循環器系に影響を及ぼすことがある。]
  • 4)不整頻拍、狭心症のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
  • 5)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 6) 運動性チックのある患者、Tourette症候群又はその既往歴・家族歴のある患者[症状を悪化又は誘発させることがある。]
  • 7)重症うつ病の患者[抑うつ症状が悪化するおそれがある。]
  • 8)褐色細胞腫のある患者[血圧を上昇させるおそれがある。]
  • 9)モノアミンオキシダーゼ(MAO)阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者

慎重投与

以下の患者さんは慎重投与となっています。

  • てんかん又はその既往歴のある患者:痙攣閾値を低下させ、発作を誘発させるおそれがある。
  • 高血圧、心不全、心筋梗塞を起こしたことのある患者:血圧又は心拍数を上昇させるおそれがある。
  • 患者の心疾患に関する病歴、突然死や重篤な心疾患に関する家族歴等から、心臓に重篤ではないが異常が認められる、若しくはその可能性が示唆される患者:本剤の投与を検討する場合には、投与開始前に心電図検査等により心血管系の状態を評価すること。
  • 脳血管障害(脳動脈瘤、血管炎、脳卒中等)のある患者又はその既往歴のある患者:これらの症状を悪化又は再発させることがある。
  • 精神系疾患(統合失調症、精神病性障害、双極性障害)のある患者:行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。
  • 薬物依存又はアルコール中毒等の既往歴のある患者:慢性的乱用により過度の耐性及び様々な程度の異常行動を伴う精神的依存を生じる可能性がある。
  • 心臓に構造的異常又は他の重篤な問題のある患者:因果関係は確立していないが、本剤の投与による突然死の報告がある。
  • 高度な消化管狭窄のある患者:本剤は消化管内でほとんど変形しない錠剤であり、本剤の服用により、まれに閉塞症状が報告されている。
  • 開放隅角緑内障の患者:眼圧を上昇させるおそれがある。

併用禁忌

以下の薬剤は禁忌となっています。

MAO阻害剤:セレギリン(エフピー)・ラサギリン(アジレクト)・サフィナミド(エクフィナ)

(高血圧クリーゼ等の重篤な副作用発現のおそれがある。MAO阻害剤を投与中又は投与中止後14日以内の患者には本剤を投与しないこと。)

併用注意

併用注意として以下の薬剤が設定されています。

  • 昇圧剤
    (昇圧作用を増強することがある。)
  • クマリン系抗凝血剤:ワルファリンカリウム
    (クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがある。)
  • 抗痙攣剤:フェノバルビタール・フェニトイン・プリミドン
    (抗痙攣剤の作用を増強することがある。)
  • 三環系抗うつ剤:イミプラミン等
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害剤:フルボキサミン・パロキセチン・セルトラリン・エスシタロプラム
    (三環系抗うつ剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤の作用を増強することがある。)
  • 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤:アトモキセチン
    (本剤の作用が増強するおそれがあるため、注意して投与すること。)
  • クロニジン
    (メチルフェニデート塩酸塩製剤との併用により、突然死の報告がある。)
  • アルコール
    (精神神経系の副作用を増強することがある。)
  • リスデキサンフェタミン
    (本剤投与中の患者には投与を避けることが望ましい。リスデキサンフェタミンの作用が増強するおそれがある。)

副作用

成人を対象とした承認時の主な副作用として以下が報告されています(図9)。

  • 食欲減退(39.7%)
  • 動悸(21.7%)
  • 体重減少(19.9%)
  • 不眠症(15.4%)
  • 悪心(16.5%)
  • 口渇(14.7%)
  • 頭痛(10.7%)

図9 メチルフェニデート(コンサータ)の副作用(成人)

小児を対象とした承認時の副作用では、主なものとして以下が報告されています(図10)。

  • 食欲減退(42.1%)
  • 不眠症(18.5%)
  • 体重減少(12.0%)
  • 頭痛(8.3%)
  • 腹痛(5.6%)
  • 悪心(5.6%)
  • チック(5.1%)
  • 発熱(5.1%)

図10 メチルフェニデート(コンサータ)の副作用(小児)

注意点

コンサータは中枢刺激作用を有するため、午後の内服は不眠をきたすため、朝に内服する必要があります。

また依存性をリスクがあるため適宜休薬期間の設定が望ましいとされています。

小児にでは成長期に合わせた適切な成長の抑制が生じることがあり、発育の観察を要します8)。

血圧上昇や脈拍に影響がでることがあり9)、注意が必要です。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤:デュロキセチン「サインバルタ」、ベンラファキシン「イフェクサーSR」など)やアトモキセチン(ストラテラ)との併用ではノルアドレナリンの効果が強まるため注意が必要です。

三環系抗うつ薬、SSRI(エスシタロプラム「レクサプロ」、セルトラリン「ジェイゾロフト」など)との併用では三環系抗うつ薬、SSRIの作用が強まるためことがあり、用量調整や観察が必要です。

他のADHD治療薬との使い分け

チックがある場合や易怒性、攻撃性が生じている場合は、コンサータで悪化する可能性があり、改善効果も期待できるインチュニブの使用が選択肢となります。

不安が強い場合、小児ではコンサータもアトモキセチン(ストラテラ)もADHDと不安を軽減する報告があり10)、いずれも選択肢になります。

一方、成人では、動物実験でメチルフェニデートは不安の悪化があり11)、また全体としてはアトモキセチンが効果的である報告がなされており12)、アトモキセチンの選択が好ましいと考えられます。

うつ病のリスクの点では、コンサータなどの中枢刺激薬で治療している当事者は、コンサータなどの中枢刺激薬で治療していない当事者よりリスクが低い結果でした13)。

非中枢刺激薬のアトモキセチン、インチュニブで治療を開始して十分な効果が得られない際は慎重にコンサータへの切り替えを検討します。

おひとりで悩んでいませんか?

ミス、不注意等で生活や仕事に支障をきたしている場合は、早めに心療内科・精神科に相談することをおすすめします。

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文献

  • 1) Volkow ND, et al.: Therapeutic doses of oral methylphenidate significantly increase extracellular dopamine in the human brain. J Neurosci, 21: 121, 2001.
  • 2) Volkow ND, et al.: Mechanism of action of methylphenidate: insights from PET imaging studies. J Atten Disord, 6: 31-43, 2002.
  • 3) Tremblay S, et al.: The Effects of Methylphenidate (Ritalin) on the Neurophysiology of the Monkey Caudal Prefrontal Cortex. eNeuro, 6: 0371-18, 2018.
  • 4) Volkow ND, et al.: Evidence that methylphenidate enhances the saliency of a mathematical task by increasing dopamine in the human brain. Am J Psychiatry, 161: 1173-80, 2004.
  • 5) Yan W, et al.: Methylphenidate promotes a frontoparietal-dominant brain state improving cognitive performance: a randomized trial. J Neurosci, 45: e1693242025, 2025.
  • 6) Volkow ND, et al.: Dopamine transporter occupancies in the human brain induced by therapeutic doses of oral methylphenidate. Am J Psychiatry, 155: 1325-31, 1998.
  • 7) Richelson E, Pfenning M.: Blockade by antidepressants and related compounds of biogenic amine uptake into rat brain synaptosomes: most antidepressants selectively block norepinephrine uptake. Eur J Pharmacol, 104: :277-86, 1984.
  • 8) Díez-Suárez A, et al.: Weight, Height, and Body Mass Index in Patients with Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Treated with Methylphenidate. J Child Adolesc Psychopharmacol, 27: 723-730, 2017.
  • 9) Farhat LC, et al.: Comparative cardiovascular safety of medications for attention-deficit hyperactivity disorder in children, adolescents, and adults: a systematic review and network meta-analysis. Lancet Psychiatry, 12: 355-365, 2025.
  • 10) Snircova E, et al.: Anxiety reduction on atomoxetine and methylphenidate medication in children with ADHD. Pediatr Int, 58: 476-81, 2016.
  • 11) Suzuki S, et al.: Different effects of methylphenidate and atomoxetine on the behavior and brain transcriptome of zebrafish. Mol Brain, 13: 70, 2020.
  • 12) Pozzi M, et al.: Adverse Drug Reactions Related to Mood and Emotion in Pediatric Patients Treated for Attention Deficit/Hyperactivity Disorder: A Comparative Analysis of the US Food and Drug Administration Adverse Event Reporting System Database. J Clin Psychopharmacol, 39: 386-392, 2019.
  • 13) Zhang Y, et al.; Effects of ADHD and ADHD medications on depression and anxiety in children and adolescents: A systematic review and meta-analysis. J Psychiatr Res, 181:623-639, 2025.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医