睡眠薬⑧デエビゴの効果・作用・副作用

作用・特徴

デエビゴは、シャープな入眠作用と、夜間の覚醒を抑える作用を有しています1)。

ベルソムラ、クービビックと同じくオレキシン受容体拮抗薬という薬剤ジャンルに分類されます。

デエビゴは、オレキシン1受容体とオレキシン2受容体をブロックして、オレキシンの働きを阻害し、脳を覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、睡眠を誘発します。 (図1)。

図1 デエビゴの作用機序

デエビゴはベルソムラ、クービビックと同じく依存、耐性形成のリスクが少なく安全性が高いとされています2)。

また、転倒のリスクが少ないこともわかっています1)。

デエビゴはレム睡眠を延長する効果があることがわかっています3)、4)。

現在、レム睡眠の短縮は、認知機能の低下、認知症の発症と関連することが示されています4)。

これらのことから、デエビゴによる不眠症の治療は研究段階ではあるものの、今後、認知症発症抑制に期待されています。

効能・効果

保険承認における効能・効果は不眠症となっています。

用法・用量

通常、成人では、1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととするとなっています。

剤型

剤型は2.5mg錠、5mg錠、10mg錠があります(図2)。

図2 デエビゴの剤型

薬物動態

デエビゴ2.5mgを内服すると、約1時間後に最高血中濃度に達し、約30時間後に血液中の濃度は半減します。

デエビゴ5mgを内服すると、約1.6時間後に最高血中濃度に達し、約31.4時間後に血液中の濃度は半減します。

デエビゴ10mgを内服すると、約1時間後に最高血中濃度に達し、約56.2時間後に血液中の濃度は半減します(図3)。

図3 デエビゴの血中濃度の推移

デエビゴ5の肝での代謝には主にCYP3A4が主に関与しているとされています。

副作用

治験における1%以上の副作用は以下の報告がありました(図4)。

  • 傾眠(10.7%)
  • 頭痛(4.7%)
  • 疲労(2.9%)
  • 異常な夢(1.8%)
  • 睡眠時麻痺(1.6%)
  • 浮動性めまい(1.6%)
  • 体重増加(1.6%)
  • 悪夢(1.4%)

図4 デエビゴの副作用

デエビゴは入眠作用に優れているものの、翌日の眠気の副作用が多いことがわかっています1)。

よくいただくご質問

ベルソムラとデエビゴではどちらの方が作用が強いですか?

入眠作用ではデエビゴの方が作用が強いです(図5)。

図5 オレキシン受容体拮抗薬の入眠時間に対する有効性の比較

中途覚醒に対する作用ではデエビゴ5mg<ベルソムラ10/15mg<デエビゴ10mgの順で作用が強いです(図6)。

図6 オレキシン受容体拮抗薬の中途覚醒に対する有効性の比較

ベルソムラよりデエビゴの方が入眠作用が強い理由はなぜですか?

オレキシン2受容体阻害の強さがより睡眠に強く関与すると考えられています5)、6)。

デエビゴはベルソムラよりもオレキシン2受容体阻害作用が強いため、より入眠作用が強いと考えられています(図7)。

図7 デエビゴとベルソムラの強さの比較(オレキシン2受容体阻害がより睡眠に関与)

デエビゴとマイスリー(一般名:ゾルピデム)はどちらが強いですか?

入眠に対する効果はほぼ同等の解析結果がでています7)、(図8)。

図8 入眠困難に対する薬剤の有効性の比較

デエビゴは金縛り(睡眠麻痺)や悪夢の副作用はありますか?

上記の副作用で記載した通り、数は少ないもの、金縛りと悪夢の副作用が生じることがあります。

金縛りと悪夢の副作用はなぜ生じるのですか?

デエビゴはナルコレプシーという疾患の症状を悪化させるおそれがあるとされています。

ナルコレプシーは日中の過度の眠気、入眠時幻覚、金縛り等を伴う疾患です。

視床下部のオレキシンが欠損することで生じるとされています。

デエビゴは視床下部のオレキシン受容体も阻害するため、ナルコレプシーの患者さんでなくても、まれに、ナルコレプシーの症状である入眠時幻覚、金縛りを惹起することがあると考えられます。

おひとりで悩んでいませんか?

不眠症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。

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文献

  • 1) Kishi T, et al.: Comparative efficacy and safety of daridorexant, lemborexant, and suvorexant for insomnia: a systematic review and network meta-analysis. Transl Psychiatry, 15: 211, 2025.
  • 2) Muehlan C, et al.: Clinical pharmacology, efficacy, and safety of orexin receptor antagonists for the treatment of insomnia disorders. Expert Opin Drug Metab Toxicol, 16: 1063-1078, 2020.
  • 3) Kushida CA, et al.: Effect of lemborexant on sleep architecture in participants with insomnia disorder and mild obstructive sleep apnea. Sleep Med, 127:170-177, 2025.
  • 4) Henmi R, et al.: Preventive Effects of Ramelteon, Suvorexant, and Lemborexant on Delirium in Hospitalized Patients With Physical Disease: A Retrospective Cohort Study. J Clin Psychopharmacol, 44: 369-377, 2024.
  • 5) Ramirez AD, et al.: Dual orexin receptor antagonists show distinct effects on locomotor performance, ethanol interaction and sleep architecture relative to gamma-aminobutyric acid-A receptor modulators. Front Neurosci, 7: 254, 2013.
  • 6) Uslaner JM, et al.: Orexin receptor antagonists differ from standard sleep drugs by promoting sleep at doses that do not disrupt cognition. Sci Transl Med, 5: 179, 2013.
  • 7) Yue JL, et al.: Efficacy and tolerability of pharmacological treatments for insomnia in adults: A systematic review and network meta-analysis. Sleep Med Rev, 68: 101746, 2023.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医