睡眠薬⑦ミアンセリン(テトラミド)の効果・作用・副作用

作用・特徴

ミアンセリン(テトラミド)は1966年にオランダのオルガノン社(現MSD社)で開発された、四環系抗うつ薬という抗うつ剤に分類される薬です。

日本では1983年に発売され使用されています。

シナプス前α2アドレナリン自己受容体を阻害し、シナプス間隙のノルアドレナリンの放出を促進し、抗うつ作用を発揮します1)、2)。

セロトニンに対しては抗セロトニン作用を有しています。

テトラミドから同じ四環系抗うつ薬のセチプチリン(テシプール)と、その後のミルタザピン(レメロン・リフレックス)が開発されました(図1)。

図1 テトラミド・テシプール・ミルタザピンの化学構造式

三環系抗うつ薬の副作用の便秘、口渇などの原因となる抗コリン作用を減少させることに成功しました。

しかし、眠気の副作用が強く、現在は少量を不眠症治療薬として使用したり、他の抗うつ剤と不眠症治療薬を兼ねた併用療法として使用されることが多いです。 睡眠に対しては、中途覚醒の改善に特に効果があります。

テトラミドは、レム睡眠は減少させ、ノンレム睡眠のステージⅡを増加させます3)、4)。

効能・効果

保険承認における効能・効果は「うつ病・うつ状態」となっています。

トラゾドンと同様にせん妄への治療効果が報告されています5)。

図2 トラゾドン・テトラミドのせん妄改善率

用法・用量

用法・用量は、通常成人1日30mgを初期用量とし、1日60mgまで増量し、分割内服する。 また、上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に内服できる。なお、年齢、症状により適宜増減するとなっています。

不眠症治療として使用する場合は少量から就寝前に内服します。

剤型

剤型は10mg錠と30mg錠があります。

図3 テトラミドの剤型

薬物動態

テトラミド30mgを1回内服した際の血中の濃度は、約2時間後に最高濃度に達し、約18.3時間後に半減します。

図4 テトラミド30mgを内服した際の血中濃度の推移

テトラミドは主にCYP1A2、2D6、3A4により代謝されるとされています。

併用禁忌

併用禁忌としてMAO阻害剤が設定されています。

併用注意として以下が挙げられています

  • リネゾリド:発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがあるあるた    め
  • 中枢神経抑制剤:相互に作用を増強することがあるため
  • カルバマゼピン・フェニトイント等のCYP3A4酵素誘導作用を有する薬剤:  テトラミドの血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある
  • アルコール:相互に作用を増強することがあるため
  • 降圧剤:降圧剤の作用を減弱することがあるため

副作用

承認時までの調査による3%以上の副作用報告は以下でした。

  • 眠気(20.39%)
  • 口渇(20.14%)
  • めまい・立ちくらみ・ふらつき(11.7%)
  • 便秘(9.4%)
  • 脱力感(7.34%)
  • 振戦(5.5%)
  • 頭痛・頭重(4.59%)
  • 不眠(4.36%)

図5 テトラミドの主な副作用

上記報告以外にも、アカシジアを誘発するリスクがあるため6)、認知症の方に使用していて、落ち着かなさが生じた際は周辺症状の不穏との慎重な鑑別を要します。

他の催眠系抗うつ薬との比較

トラゾドン(レスリン)やミルタザピン(レメロン・リフレックス)も、ヒスタミンH1受容体阻害、セロトニン5-HT2A受容体阻害効果を有し、不眠症治療にも用いられます。

不眠症治療としては、セロトニン5-HT2A受容体阻害効果が重要ですが、テトラミドは強い阻害効果を有しています7)、8)。

図6 催眠系抗うつ薬の効果の比較

血中濃度はトラゾドン<テトラミド<ミルタザピンの順で半減期が長くなります。

図7 トラゾドン・テトラミド・ミルタザピンの血中濃度推移の比較

おひとりで悩んでいませんか?

不眠症状がある場合は、我慢せず早めの心療内科・精神科への受診をおすすめします。
まずはかかりつけ内科等で相談するのも1つの方法です。

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文献

  • 1) Marshall RJ.: The pharmacology of mianserin–an update. Br J Clin Pharmacol, 15: 263S-268S, 1983.
  • 2) 溝田 雅洋. 他. : 新抗うつ薬, MO-8282の薬理学的性質(第2報). 日薬理誌, 88 : 457-466, 1986.
  • 3) Morgan K, et al.: Effects of a single dose of mianserin on sleep. Br J Clin Pharmacol, 10: 525-7, 1980.
  • 4) Mendlewicz J, et al.: Changes in sleep EEG architecture during the treatment of depressed patients with mianserin. 320: 26-9, 1985.
  • 5) Kawano S, et al.: Trazodone and Mianserin for Delirium: A Retrospective Chart Review. J Clin Psychopharmacol, 42: 560-564, 2022.
  • 6) Revet A, et al.: Antidepressants and movement disorders: a postmarketing study in the world pharmacovigilance database. BMC Psychiatry, 20: 308, 2020.
  • 7) Derijks HJ, et al.: Visualizing Pharmacological Activities of Antidepressants: A Novel Approach. The Open Pharmacology Journal, 2: 54-62, 2008.
  • 8) Ghanbari R, et al.: Sustained administration of trazodone enhances serotonergic neurotransmission: in vivo electrophysiological study in the rat brain. J Pharmacol Exp Ther, 335: 197-206, 2010.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医