セルトラリン(ジェイゾロフト)について

作用・特徴

セルトラリン(ジェイゾロフト)はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)として作用する抗うつ薬です。

1990年に英国で承認された後、2004年に日本でも「うつ病・うつ状態」及び「パニック障害」で適応の承認を得ました。

セルトラリン(ジェイゾロフト)はうつ病やパニック障害に対し、効果と忍容性のバランスが良い薬であることが分かっています 1)、2)。

また、日本人女性への効果が良好な結果も報告されています 3)、4)、(図1)。

図1 日本人女性うつ病に対する各SSRIの効果の違い

セルトラリンの特徴として、脳内の細胞外セロトニン濃度を高めるだけでなく、喜びや興味に関わる側坐核という部位のドパミン濃度を高めることが報告されています 5)、(図2)。

図2 セルトラリンによる側坐核における細胞外セロトニン・ドパミン量の変化(ラット)

うつ病では側坐核におけるドパミン機能が低下しており、セルトラリンの側坐核でのドパミン濃度を高める作用はうつ症状の改善に関わることが示唆されています 6)。

エスシタロプラムが(レクサプロ)が1錠で効果用量に達するのに比較し、セルトラリン(ジェイゾロフト)は低用量から開始し、症状に合わせて増量していく必要があり、その分治療に時間がかかることがあります。

しかし、副作用が生じやすい体質であったり、症状が軽症の場合では薬は少量の方が適している場合もあり、このような場合ではセルトラリン(ジェイゾロフト)が向いていることもあります。

効能・効果

日本での保険承認は現在(2022年3月時点)、「うつ病・うつ状態」、「パニック障害」、「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」となっています。

米国では「うつ病」、「強迫性障害」、「パニック障害」、「心的外傷後ストレス障害」、「社交不安障害」、「月経前不快気分障害」で成人は保険承認を得ています。

英国では「うつ病」、「強迫性障害」、「パニック障害」、「心的外傷後ストレス障害」、「社交不安障害」で成人は保険承認を得ています。

米国、英国ともに小児は「強迫性障害」で保険承認を得ています(図3)。

図3 セルトラリン(ジェイゾロフト)の各国の保険適応

用法・用量

通常、成人にはセルトラリンとして1日25 mgを初期用量とし、1日100 mgまで漸増し、1 日1回経口投与する。

なお、年齢、症状により1日100 mg を超えない範囲で適宜増減するとなっています。

うつ病の改善には1日75㎎の内服が一つの目安になることが報告されています 7)。

薬物動態

1日1回50㎎を単回で内服した際は血液中の濃度は約9時間で最高濃度に達し、約23時間後に血液中の濃度は半分に下がります。

100mgを単回で内服した際は血液中の濃度は約7時間で最高濃度に達し、約24時間後に血液中の濃度は半分に下がります。(図4)。

図4 セルトラリン(ジェイゾロフト)の血中濃度の推移

毎日内服すると5日目に一定の濃度に維持されます。食事の影響はほとんどありません。

副作用

うつ病・うつ状態及びパニック障害患者を対象とした国内臨床試験における承認時までの副作用は1478例中881例(59.6%)に発現し、主な副作用は、悪心18.9%、傾眠15.2%、口内乾燥9.3%、頭痛7.8%、下痢6.4%、浮動性めまい5.0%でした(図5)。

図5 セルトラリン(ジェイゾロフト)の主な副作用

セルトラリン(ジェイゾロフト)はうつ病、不安障害に対しエスシタロプラム(レクサプロ)と並び有効性と忍容性が優れている薬剤で、現在もなお第一選択の薬剤の一つにあると言えます。

文献

  • 1)Cipriani A, et al. : Comparative efficacy and acceptability of 21 antidepressant drugs for the acute treatment of adults with major depressive disorder: a systematic review and network meta-analysis. Lancet, 391 : 1357-1366, 2018.
  • 2)Chawla N, et al. : Drug treatment for panic disorder with or without agoraphobia: systematic review and network meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ, 376 : e066084, 2022.
  • 3)Morisita S. et al. : Gender difference in response to antidepressants. Encyclopedia of Pharmacology Research, chapter 8, 2012.
  • 4)森下 茂. : 女性うつ病へのSSRI選択. DEPRESSION JOURNAL, 1 : 61-63, 2013.
  • 5)Kitaichi Y, et al. : Sertraline increases extracellular levels not only of serotonin, but also of dopamine in the nucleus accumbens and striatum of rats. Eur J Pharmacol, 647 : 90-6, 2010.
  • 6)Umene-Nakano W, et al. : Predictive factors for responding to sertraline treatment: views from plasma catecholamine metabolites and serotonin transporter polymorphism. J Psychopharmacol, 24 : 1764-71, 2010.
  • 7)Morishita S, Kinoshita T. : Predictors of response to sertraline in patients with major depression. Hum Psychopharmacol, 23 : 647-51, 2008.

執筆者

院長 宮本 浩司(みやもと こうじ)

院長 宮本浩司

川崎市・溝の口の心療内科・精神科
高津心音メンタルクリニック
・ 精神保健指定医
・ 日本精神神経学会認定専門医・指導医